スティーグ・ラーソン/ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女
(早川書房 2008年)

ミレニアム1 上 ミレニアム1 下


<ストーリー>

ジャーナリスト、ミカエル・ブルムクヴィストは、
大物実業家ヴェンネルストレムの不正を暴いたつもりの記事が名誉毀損に問われ、有罪判決を受ける。
仕事を失った彼に、老富豪ヘンリック・ヴァンゲルから依頼が舞い込む。
37年前、一族の屋敷があるヘーデビー島から忽然と姿を消した、
当時16歳の姪ハリエットの行方を調べてほしいというのだ。
ヘンリックは、一族の誰かがハリエットをひそかに殺害したと考えていた。

いっぽう、ミルトン・セキュリティー社の女調査員リスベット・サランデルは、
ヘンリックからミカエルの身上調査を依頼されたのをきっかけに、
ミカエルの仕事を手伝うことに。
背中にドラゴンの刺青、イカれたパンク娘にしか見えない彼女は、
じつは天才的頭脳を持つ超凄腕のハッカーだった。


実はワタクシ、以前からスウェーデン・ミステリのファンでした。
古くはアストリッド・リンドグレーン「名探偵カッレくん」シリーズ。
エーヴァ・ロッタは永遠のアイドルです!)

70〜80年代は、「マルティン・ベック・シリーズ」にはまったなあ。
むさ苦しいオッサンばかり出てくる小説なのに、なんでこんなに面白いんだろと思ったものです。

最近ではヘニング・マンケルの「クルト・ヴォランダー・シリーズ」
「マルティン・ベック」によく似ていますが、それがかえって「懐かしい雰囲気!」でグッド。

そして現在話題沸騰のスウェーデン・ミステリがこの「ミレニアム」

「閉ざされた孤島で37年前に消えた少女」という、アガサ・クリスティーあたりが好んで描きそうなクラシカルなシチュエーションから動き出した物語が、
毎年届く死者からの贈り物、消えた少女が残した暗号、隠された見立て連続殺人など、しだいに重層化・複雑化してゆく過程は、たまらなくスリリング。

37年前の事件を調査しているつもりだったミカエルリスベットは、いつしか現在進行形の恐るべき犯罪に対峙している自分たちに気づくのです。

作者のたくらみに鼻面つかまれてあっちへこっちへ引っ張りまわされる快感を心ゆくまで味わえます。
ミステリ、サスペンス、コンゲーム、サイコキラー、アクション、恋愛、さまざまな要素がブレンドされた問答無用的最上級エンタテインメント小説です。

ちなみに、ミカエルとリスベットのモデルは「名探偵カッレ」「長靴下のピッピ」なんだそうです。
かつてリンドグレーンのファンだったものとしてはうれしいですね。

スウェーデン本国では第3部まで刊行されているそうで、日本でも先日第2部が出版されたところ。
可及的速やかに読破したいと思います。

ただ、非常に残念なことが・・・
著者スティーグ・ラーソンは、もとジャーナリスト。
小説家としての処女作「ミレニアム」を5部作として構想しましたが、なんと第3部を仕上げたところで急死してしまったのです(まだ50歳!)。
ベビー・スモーカーだったらしいですね。。。
しかも第1部の出版直前だったため、結局作品の成功を見ることなく世を去ってしまったことに。

なんとも気の毒な・・・。

(09.4.11.)


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