映画「カルメン」 フランチェスコ・ロージ監督
(1984)



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「オペラ映画」というジャンルの中で、
ゼッフィレッリ監督の「トラヴィアータ」と並んで、「もう最高!」と言いたいのがこの「カルメン」
それにしても良い時代になったもの、偉大なるYou Tube大先生のおかげで、いくつかの場面を見ることができます。

イヤホント、素晴らしいですよこのカルメン。

 ハバネラ(恋は野の鳥)
 

オペラの舞台セヴィリアに近いアンダルシアでのロケ。
まさにカルメンのために存在しているような風景、舞台での上演では望めない臨場感です。
カルメン役のミゲネス・ジョンソン、若いころの栗原小巻にちょっと似てませんか。
汗臭い野性のカルメン、歩くと舞う砂埃、腋毛そってません。
ファッションも質素ですが、かえってリアル。
カルメンといえば真紅のドレスに薔薇の花という先入観がありますが、そもそも煙草工場の女工ですからね。
「わたしに好かれたら気をつけな」とドスのきいた声で歌います。

若きプラシド・ドミンゴも生真面目でうぶな伍長ドン・ホセにぴったり。

カルメンは別の女工と喧嘩して切りつけ、逮捕されてしまいます。
取調べ担当のドン・ホセを歌で誘惑するカルメン。
「逃がしてくれたら、あとでいいコトしてあげるわよン」
ドン・ホセはついふらふらと・・・。

その夜、酒場で仲間たちと歌い騒ぐカルメン。
豪華なセット、迫力のモブ・シーン、前半のクライマックス。

 ジプシーの歌
 

そこになぜか唐突に人気闘牛士エスカミリオが登場(ルッジェロ・ライモンディがまたいい男だ)。
カルメンのことが気に入った様子です。

 闘牛士の歌
 


夜遅く。
約束どおり律儀に(?)やってきたドン・ホセの目の前で踊りながら誘惑するカルメン。
ところが、帰営のラッパが聞こえると

 「あ、門限だ。 ボク帰らなきゃ」

・・・どこまで律儀なヤツだよ。
怒り狂うカルメン。 当然でしょう。
あらかじめ外泊許可でも取っておくべきでした。

・・・その後いろいろありまして、
軍隊をやめ、カルメンとともに密輸業者の一味になってしまったドン・ホセ。
ふたたびなぜか唐突に人気闘牛士エスカミリオが登場。

 「ここにカルメンって娘がいるだろう」
 「カルメンは、ボクのカノジョだぞ!」
 「そろそろオマエには飽きてるはずさ〜」
 「け、決闘だ!」

剣を抜いて争うふたり、止めに入るカルメン。
 

エスカミリオ「互角の勝負だ。美女を賭け、お望みのときにまた!」
そしてカルメンに「今度の闘牛に招待するよ。俺が好きなら来るがいい」
じつは独占欲の強いドン・ホセから彼女の心はすでに離れていました。
「あんたとはお別れよ。こんどはエスカミリオと付き合うわ」
ドン・ホセはふられてしまいます。

闘牛の日。
闘牛場からカルメンを呼び出すドン・ホセ。
「もういちどやりなおそう」
「いやよ。もう愛してない」
「お前が好きなんだ!」
「私はカルメン、自由に生きて、自由に死ぬわ!
「あいつを愛しているのか?!」
「ええ、愛しているわ!」
ドン・ホセによるカルメンの殺害まで、迫力の長回し、このふたりすごい演技力です。

 終幕の二重唱
 

(08.6.27.)

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