シチェドリン/カルメン組曲 ほか
(クチャル指揮 ウクライナ交響楽団)
(NAXOS 8.553038)



Amazin.co.jp : Shchedrin: Carmen Suite

Tower@jp : Shchedrin: Carmen Suite


「カルメン」といえば、言わずと知れたビゼーのオペラ。
1967年のこと、ソ連(ロシア)の名プリマ、マヤ・プリセツカヤは、振付家アルベルト・アロンソとともに
「カルメン」の音楽を使ったバレエを上演する計画を立てます。
そこで編曲をショスタコーヴィチに依頼しますが、

 「ビゼーのたたりが怖い」

と断られました。(四谷怪談かい)
次にハチャトゥリアンに依頼したところ、「君のご主人にやってもらいたまえ。彼は天才だよ!」(これまた体良く断られたという感じも・・・)
そこで仕方なく(?)、プリセツカヤの夫である作曲家・シチェドリン(1932〜)が編曲することになったというわけ。

編成は弦楽と4群の打楽器というユニークなもの。「打楽器のための協奏曲」と言ってもいいくらいです。
「カルメン」の情熱的でスパニッシュなメロディが、打楽器の乾いた音に良く合うこと合うこと。
「椿姫」ではこうはいきません(当たり前)
オケが弦楽器のみ、というのもすっきりしていて良いです。
フルオーケストラだったら、ゴテゴテした暑苦しい音楽になってました。
途中、「アルルの女」のメロディも乱入してきて、悪ノリ気味の乱痴気騒ぎ。
それにしてもこの打楽器パート、かなり遊んで、というかテキトーに作っている気配が濃厚。
「衛兵の交代」など、明らかにふざけています。

 ビゼー/シチェドリン:カルメン組曲より
 

楽しい曲ですが、これを「代表作」と言ってしまっては、シチェドリンが気の毒。
3曲あるピアノ協奏曲などを聴くと、才能と実力をあわせ持った一流作曲家である事がわかります。

さてこのバレエ「カルメン」、残念ながら初演は失敗でした。
理由はビゼーのたたりではなく、ソ連政府による妨害があったためだそうで、
どうやらこの国の音楽事情は、四谷怪談どころではないほど怖い世界。
ショスタコたちが断ったのも、何かを予測していたのかもしれません。
もちろん、今では人気作品として、あちこちで演奏・上演されています。

数年前この曲をコンサートで聴きました。
弦楽オケの後ろに十数種類の打楽器がずらりと並び、4人の奏者が走り回りながら奮闘しているさまは、とても楽しいものでした。

 バレエ「カルメン」より(マヤ・プリセツカヤ)
 

(04.4.29.記)



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