ジョン・ケージ/In a Landscape (鍵盤のための作品集)
(Stephen Drury 独奏  1994録音)



Amazon : In a Landscape


曇り空の休日、部屋でぼんやりしながら聴くジョン・ケージ(1912〜92)の鍵盤のための作品集

 In a Landscape(ある風景の中で)

In a Landscape (1948)


タイトルナンバーの透明でひそやかなたたずまい。
森の奥にある小さな湖に小雨が降っている光景が思い浮かびます。
ブライアン・イーノのアンビエント・ミュージックや、アルヴォ・ペルトの「ティンティナブリ様式」を連想しますが、なんと1948年の作品です。
どんだけ時代を先取りするんだジョン・ケージ

このアルバムはジョン・ケージの鍵盤音楽を集めたアルバム。
代表作といわれる「プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード」はあえて収録せず、独立した小品を並べたラインアップ。
プリペアド・ピアノのための曲は有名な「マルセル・デュシャンのための音楽」「季節外れのヴァレンタイン」などが入っています。

マルセル・デュシャンのための音楽 (1947)
(このCDの演奏ではありません)

プリペアド・ピアノの奇妙な音も慣れると妙に気持ち良いもの。
これも水滴がしたたる様子を連想させる曲で、どこか催眠効果もある気がして、音の動きはガムラン風というか東洋的です。
日本家屋の縁側に座って雨音を聴いているような気分。
これはマルセル・デュシャンの映像作品のサウンドトラックとして作られた音楽で、デュシャンと親しかったエリック・サティの音楽も意識しているそうです。

「Souvenir」(捧げもの)(1983)というオルガン曲もあります。
これまたシンプルで無駄がないというか、動きの少ない瞑想的な音楽ですが、ときたま響く不協和音が効果的なスパイス。

Souvenir


パイプ・オルガンの曲があるかと思えば「トイ・ピアノのための組曲」(1948)もあります。
最大の鍵盤楽器と最小の鍵盤楽器の対比をお楽しみくださいってことでしょうか。

トイ・ピアノのための組曲
(このCDの演奏ではありません)

音楽そのものはシンプルですが、やたらと感性に突っかかってくる不安定さがあります。
これを「面白い」と思うか「気持ちわるい」と思うかが分かれ目ではないかと。

それにしても、よくまあこんな変な音楽を作ったもんですね(褒めてます)。
やっぱりジョン・ケージって天才です。

「In a Landscape」 とよく似た雰囲気の「Dream」 という曲で、アルバムは文字通り夢見るように終わります。

Dream (1948)



なおジョン・ケージはキノコの研究家でもあり、ニューヨーク菌類学会の創設にもかかわったそうです。
そう思って聴くと、胞子から菌糸が伸びて広がってゆく様子や、丸いキノコがポコポコ生える様子も見えてくるようですねえ(そうかあ?)。

ジョン・ケージ、きのこ的生活(1989年のドキュメンタリー)


(2020.10.10.)


「あなたはなぜキノコがお好きなんですか?」
「辞書を見てごらん、"music"のひとつ前の単語は"mushroom"だろう、だからだよ」
ジョン・ケージ


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