バッハ/インヴェンションとシンフォニア(弦楽版)
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番
ジャニーヌ・ヤンセン(vn)ほか 2007年録音
Amazon.co.jp : Bach: Inventions & Partita
Tower@jp : Inventions & Sinfonia
親分:オランダ出身の若手ヴァイオリニストジャニーヌ・ヤンセンのバッハ・アルバムだ。
ガラッ八:ヴァイオリニストなら一度は作りたいバッハ・アルバムでやんすねー。
で、無伴奏? ソナタ? それとも協奏曲でやんすか?
親:いやいや、なかなか面白い曲で攻めてきたぞ。
ピアノ学習者が必ず悩まされる「インヴェンションとシンフォニア」を、弦楽二重奏&三重奏で演奏しているんだ。
八:そういや、ここの管理人のムスメも、かつてピアノの前で「キーッ!」って言ってましたね。
親:バッハの「ゴールドベルク変奏曲」なら、弦楽三重奏や弦楽合奏で演奏したアルバムが複数出ているが、
「インヴェンションとシンフォニア」はどうやら初めて。 いいところに目をつけたな。
八:で、聴いてみてどうでやんすか。
親:インヴェンションは、ヴァイオリンとヴィオラの親密な対話、いい感じ。
シンフォニアはチェロが加わって三重奏になるが、弦楽作品としてごく自然に楽しめるので驚くほどだ。
ヤンセンは音色に艶があるし表現力も抜群、単純な楽譜が見事な芸術作品として立ち現れる。
これらの曲をピアノで弾いたことのある人なら、なおさら面白いかもな。
2声のインヴェンション第1番
2声のインヴェンション第4番
3声のシンフォニア第2番
八:イヤな練習の記憶がよみがえって、「ギャー」って言う人もいるんじゃないですか。
親:うーむ、それはどうだろう。
八:ためしに、ここの管理人のムスメに聴かせてみましょうかね。
親:ま、そのうちにな・・・(最近怒るとコワイし)。
あとこのアルバムには、有名な「シャコンヌ」を含む無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番が収められている。
独奏、二重奏、三重奏の作品をバランスよく収めた、面白いプログラムだ。
八:「シャコンヌ」は、ここの管理人がヒラリー・ハーンとかいうお姉ちゃんの演奏でよく聴いてますね。
親:ヤンセンは、ほぼ同年齢の若手女流ヴァイオリニストということで、ハーンとよく比較されるから、
ハーンの録音、意識しているかもしれないな。
八:ハーンの「シャコンヌ」ってどんなでしたっけ。
親:ハーンの録音は、普通のヴァイオリニストなら13〜4分で弾くところを、17分半もかけた超スロー演奏。
しかし荘厳さといい、スケールの大きさといい、もう最高だ。
わずか17歳でここまで個性的な演奏をするとは、空恐ろしくなるほどの才能だな。
八:うわあ、べたほめでやんすね。 それで、ヤンセンはどうなんですか。
親:ヤンセンもいいぞ。 彼女は逆に、若々しく疾走感のある「シャコンヌ」を聴かせてくれる。
奇をてらったところはないが、ハーンに劣らない貫禄の名演だ。 ちなみに演奏時間は13分19秒。
しかし、このアルバムの売りはやはり「インヴェンションとシンフォニア」のほうだな。
ヴァイオリンで弾いてもこんなに典雅で魅力的な音楽だとは・・・選曲の妙。
まさに「コロンブスの卵」だ。
八:あ、それ知ってます。 卵を立てるにはどうするかって話ですよね。
親:ああ、おめえでも知ってるんだな。
八:「でも」とは失礼な。 こうするんですよ、卵をテーブルにゴンと打ちつけて・・・。
親:わあー、それは生卵だあっ!
八:ひいー、大惨事でやんす!!
シャコンヌ
(08.2.29)