サント=コロンブ/ヴィオール曲集 (ヒレ・パール;ヴィオール 他)
(Deutsche Harmonia Mundi 05472 77373 2)




Amazon.co.jp : Retrouve & Change

Tower@jp : Sainte Colombe: Retrouve & Change / Hille Perl


先日ご紹介した"Spanish Gypsies"にも参加していた、ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者、
ヒレ・パールの、サント=コロンブ作品集

ヴィオールは、17世紀フランスで流行した楽器で、「弦が多くてフレットのあるチェロ」のようなもの。
もともと6弦でしたが、サント=コロンブが改良して7弦になったそうです。
音はチェロよりも深くて渋く、よく人間の声にたとえられます。
私には、「刑事コジャック」の森山周一郎の声に聞こえます。
間違ってもジャケットのような妙齢の女性の声とはかけはなれていますが、渋くて良い音。 落ち着きます。

 サント=コロンブ:クープレ
 

サント=コロンブ(1619?〜1701?)は、フランスのヴィオール奏者&作曲家で、
この楽器の第一人者と目されていたにもかかわらず、宮廷に仕えることなく、孤高の生涯を送った人物。
マラン・マレの師匠だった人です・・・といってもマラン・マレもあまり知られているとは言えませんね。
マレのほうはしっかり宮廷に仕えて、名誉と富を手に入れました。

曲はサント=コロンブの「2台のヴィオールのためのコンセール(全67曲)」からセレクトされていますが、
一部アレンジがほどこされています。
第2ヴィオールのかわりにハープ(ロレンス・キング)を使ったり、第2ヴィオールを省いて通奏低音を加えたりしています。
正当性については議論のあるところでしょうが、2台のヴィオールのみの演奏に比べて聞き易いことは確か。

フランスの音楽なのですが、聴いていると「わび」「さび」といった言葉が脳裏に浮かびます。
あたかも水墨画のような音楽、聴いている間は時間がゆっくり流れる気がします。
濃い煎茶をすすりながら聴いております。

 サント=コロンブ:悲しみのトンボー
 

(05.5.15.記)



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