エリザベス=クロード・ジャケ=ド・ラ・ゲール/クラヴサン組曲
(エリザベス・ファー:クラヴサン)
2枚組




Amazon.co.jp :Jacquet De La Guerre: Harpsichord Suites Nos. 1-6


昨日(3月29日)は、娘の中学校吹奏楽部定期演奏会でした。
春休みに入ってからも、体操服姿でクラリネットと弁当を背負って毎日練習へ行く娘。
夕方、疲れて帰ってきては「もう無茶苦茶〜」「アンサンブル崩壊!」などと大騒ぎ。
どんなにひどい演奏かと 期待して 心配して、本番を聴きに行ってみれば、まあ、ちゃんと音楽になっておりました。 
というか思ったより上手でした。(←親バカ)
さてはあの大騒ぎは、こちらを油断させる作戦だったのかっ?(←何のためじゃ) 

びっくりしたのが、公立中学で共学なのに、男子部員がひとりもいないこと。
男子部員ゼロだと、これから入りたい男子がいても入りにくいだろうな〜、と娘も気にしてました。
荷物運び要員が欲しいのにぃ、と (←オイ)。

プロのオーケストラなどは、男性のほうが多いですよね。
クラシック作曲家の世界も、やはり男性中心、女性作曲家は珍しいですね。
なのに何故、学校の吹奏楽部は女子の帝国と化しているのかっ?


  な〜ぜ〜?  (知りません。)


もっとも女性の作曲家は、昔からけっこういたのであります。

たとえば、エリザベス=クロード・ジャケ=ド・ラ・ゲール Elisabeth-Claude Jaquet de la Guerre (1665〜1729)
唱えている間にたんこぶも引っ込みそうな長い名前ですな。

 

フランソワ・クープランより3歳年長の彼女、ルイ14世時代のフランスに、その名声をとどろかせた大音楽家であります。
とはいっても現在はほとんど忘れ去られていますが。。。

音楽家&楽器製作者の一家に生まれたエリザベスは、早くから音楽の才能を発揮、
13歳で宮廷オペラにクラヴサン奏者として参加、それが評判になり、神童少女として宮廷に出入りするように。
王の愛妾モンテスパン夫人にかわいがられ、宮廷の礼儀作法を身につけます。
クラヴサン演奏、作曲を見事にこなし、歌も素晴らしく上手かったそうです。

「クラヴサン曲集第1巻」(1687)は、ルイ14世に献呈したところ、国王大変喜んで、その肝いりで晴れて出版となった、記念すべき作品。
このときエリザベスわずか22歳。
ちなみに3歳年下のフランソワ・クープランが「クラヴサン組曲第1巻」を出版したのは48歳(1713年)ですから、エリザベスの才能と早熟ぶりはかなりのもの。
なお、17世紀にクラヴサン曲を出版したフランス人作曲家は、彼女を含めて4人しかいないそうです。

 組曲第1番より「プレリュード」 
 

ジャケは旧姓で、1684年にサント・シャペル教会のオルガン奏者マラン・ド・ラ・ゲールと結婚、その姓をも名乗ります。
1691年には、26歳でオペラ・バレエ「勝利の栄光に寄せて」を作曲、これはフランス初の女性によるオペラとなります。
ルイ14世没後も、ルイ15世に捧げるテ・デウムを作曲してルーヴル宮殿で演奏するなど生涯パリ音楽界の第一線で活躍、人気と尊敬を集めました。

あらためて依頼品を見てみよう、じゃなかった、CDを聴いてみますと、とても繊細で美しい音楽です。
でも、クープランラモーにくらべると、インパクトが少ないような。。。
ひたすら柔らかく優雅に流れていきますが、印象に残りにくいです。
当時人気のあったブリセ・スタイル(リュート奏法から借用した、アルペッジョを多用するスタイル)で作曲しており、こういう良くも悪くも上品なのが、当時の流行だったようです。
現代の感覚からすると、一発で記憶に残るメロディとか、思わずはっとするようなリズムがあればなあ、と思わないでもありません。

 組曲第1番より「ジーグ」
 

 組曲第3番より「アルマンド」
 

ナクソスにしては録音も良くて、キンキンしたところのない、ソフトで深みのある音。
エリザベス・ファーの演奏も優美で気品があり、気持ちよく聴けます。
お休み前のBGMに良いかもしれません。

 組曲第4番より「トッカーダ」
 

(08.3.30.)


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