ガルッピ/ハープシコード協奏曲全集(2枚組)
(ロベルト・ロレッジャン独奏 アンサンブル・コンセルト・ムジコ)




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四国は3月に入ってちょっぴり暖かくなったと思ったら、ふたたび冷え込みがぶり返し、
春分の日を過ぎても寒い日が続いております。

どのくらい寒いかと言いますと、
私は生まれは岡山ですが、岡山弁では「寒い」「さみー」と言います。
先日、家から外に出た瞬間、思わず「さみー、さみー、サミーデイビスジュニア!」と口走ってしまい、
「いまの駄洒落がいちばん寒かった・・・」と自己嫌悪にうちのめされるほどの寒さだったのです(←説明になっとらんわ)

それでも今日(3月27日)は日差しも明るく暖かく、さすがにもう春なのかなと思うのであります。


さて、そんな春の幕開けにふさわしい音楽を。

 バルダッサーレ・ガルッピ/ハープシコード協奏曲全集

「ガルッピ」って、可愛い名前ですね。
アニメのキャラクターに似合いそう。
「わたしはガルッピ、魔法の国からやってきたの! 『魔法少女ガルッピ』って呼んでね!」
みたいな・・・。(←阿呆)

バルダッサーレ・ガルッピBaldassare Galuppi, 1706〜1785)は、じつは魔法少女ではなくヴェネツィアの作曲家(♂)で、
聖マルコ寺院主席楽長という、ヴェネツィア音楽界最高の地位に君臨した偉い人。
111曲のオペラ、20曲のオラトリオなど、多くの声楽作品を書きましたが、
ハープシコード奏者としても名声を博し、チャーミングで美しいソナタ協奏曲を残しました。

ベネディッティ・ミケランジェリが1965年に録音したリサイタル・アルバムに、
ガルッピのピアノ・ソナタ第5番が収録されていたことをご記憶のオールド・ファンもおられるかもしれません。

今回、ブリリアント・クラシックスから発売されたハープシコード協奏曲全集には、
春爛漫を思わせる幸福で光輝くような作品がてんこ盛り。
どの曲も、快活で明朗で優雅で色彩的で魅惑的で・・・うわー、たまりません。
しかし、安っぽくもなければ軽薄でもないのです。
確かな作曲技法に裏打ちされた、なめらかで艶っぽいメロディ、活気とメリハリに富んだリズム。

 ガルッピ:ハープシコード協奏曲 変ホ長調(このCDの演奏ではありません)
 

演奏も素晴らしく、1パート1名の室内楽的編成から生まれる、豊かでヴィヴィッドな響き。
「聴く快楽」を存分に堪能できます。
モーツァルトの初期のピアノ協奏曲と比較したら、ガルッピのほうに軍配を上げたくなるほどですが、
これは演奏の力もあるかもしれません。

フルートが加わった曲も2曲収録され、花を添えます。

ニコニコとした愛らしさにあふれる作品たちの中に、
1曲だけハ短調の協奏曲が収録されていますが、これがまた名曲。
張りつめた緊張感、スリリングな音運び、「疾走する悲しみ」が燃え上がります。

 ガルッピ:ハープシコード協奏曲 ハ短調(このCDの演奏ではありません)
 

価格の3倍くらいの価値がある、超スンバラシイ名盤でした。

(2012.3.28.)

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