D・M・ディヴァイン/ウォリス家の殺人(1981)
(創元推理文庫 2008年)


Amzon.co.jp : ウォリス家の殺人 (創元推理文庫)

クラシカル・パズラーの名作


<ストーリー>
歴史学者モーリスは、人気作家ジョフリーの邸宅に招かれた。
久しぶりに会う旧友はひどくピリピリしていて、心ここにあらず。
じつはモーリスの息子クリスと、ジョフリーの娘アンは恋人どうしで、
ジョフリーと彼の妻は二人の交際に反対していた。
しかしジョフリーの態度にはそれだけではない何かがありそうだ。


端正で上品な本格ミステリ (ただし地味)

英国の田舎、富豪の邸宅とその周辺で起こる殺人事件。
1981年の作品ですが、唖然としてしまうほどにクラシカル。
さすがに時代設定は1960年代ですが、
1930年代でもおかしくないほどです。

とにかく安心して読めます。 
巧みに張り巡らされた伏線、徐々に盛り上がるサスペンス、
そして意外な犯人、いやぁ本当に意外でした、綺麗にだまされました。
まさしく英国本格推理の王道であります (ただし地味)。 

こういう作品は、暖炉のかたわらで、ロッキングチェアに揺られながら、ブランデーなど片手にのんびりとページをめくりたいもの。
私は煎茶をすすりながら布団にひっくり返って読みましたが、それでもやっぱり面白かったです (ただし地味)

ディヴァインは昨年、「悪魔はすぐそこに」が評判になりましたが、
個人的にはこの「ウォリス家の殺人」のほうが楽しめました (ただし地味)

次が楽しみな作家がまたひとり増えました。
もっともすでに亡くなっていますが(1980年没)。

(08.12.22.)

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