ボンポルティ/二つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 作品6
(演奏:Labirinti Armonici  2022録音)



Tower : ボンポルティ/二つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 作品6

ブリリアント・クラシックスのボンポルティ/二つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ全集が完結しましたっ!
・・・ってなんですかその需要のなさそうな全集?

このたびリリースされたのは ソナタ集 作品6

ソナタ第2番 ニ長調 第2楽章  (明るく天真爛漫なアルマンド)


完結を待っていた人がどれだけいるのか不明ですが、
4枚揃えるとボンポルティの肖像画が完成するという、コレクター魂を刺激されるニクイ仕掛けもございます。
私なんかこれを作りたいがために買いそろえたようなもんです(オイオイ)。

あ、いや、なかなか素敵な曲ばかりですよ。

フランチェスコ・アントニオ・ボンポルティ(1672〜1749)はイタリアの作曲家で僧侶。
ローマで神学と音楽を学び、コレルリに師事しました。
北イタリアのトレント大聖堂で聖職者として働いた47年間に12の作品集を出版し各国の有力者に献呈。
1727年には返礼としてカール6世から「宮廷紳士」の称号を授与されるなど、なかなか世渡り上手ですね。

ヴィヴァルディじゃありませんが「音楽もできる坊さん」としてそれなりに有名だったそう。
なおヴィヴァルディとは全く付き合いはなかったようです。

ソナタ第3番 嬰ヘ短調 第3楽章 (軽やかで趣味の良いジーグ)


ただし当時の北イタリアはオーストリアが支配していてドイツ語を話す聖職者が優勢、どんなに才能があり家柄が高くてもイタリア人の昇進は困難でした。
ボンポルティはマインツ選帝侯秘書に手紙を書き、ウィーン皇帝の従軍牧師に任命されれば一年分の給与を放棄すると申し出ましたが、望みはかないませんでした。
そのためか晩年はトレントを去ってヴェニスにほど近いパドヴァに住み、そこで亡くなりました。

作品6のソナタは1705年にヴェニスで出版されました。
ヴァイオリン・パートは技巧的で、作曲者自身かなりの腕前だったのでしょう。
典型的なコレルリ・スタイルのトリオ・ソナタで、楽しく気持ちよく聴けます。

ヨハン・セバスチャン・バッハはボンポルティの楽譜を筆写したりチェンバロに編曲したりしました。
そのため後世の研究者がバッハの作品と勘違いする事件もありまして、それだけレベルの高い作品なわけです。

ソナタ第4番 イ長調 第3楽章 (春の陽光のように晴れやかなクーラント)


歯切れのよいリズム、快適なテンポ、解放的な響きの心地よさ、とってもチャーミング。
晴れた休日にゆったりくつろぎながら聴くのに最適です。
それにしても知られざる作曲家の知られざる名曲ってたくさんあるものですね。

ソナタ第7番 ト短調 第2楽章 (ほのかな哀感にキュンとするアルマンド)


(2023.12.03.)


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