ボンポルティ/2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ集 作品1&2
(Labirinti Armonici)


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フランチェスコ・アントニオ・ボンポルティ(1972〜1749)はイタリアの作曲家兼聖職者。
北イタリアはトレントの生まれ、1691年にローマに出て神学を修めるかたわらコレルリらに師事、ヴァイオリンと作曲を学びます。
1695年にトレントに戻って司祭となりますが作曲もバリバリこなし、楽譜はヴェネツィアの出版社から出版しました(作品12まであり)。

2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 作品1(1696)と作品2(1698)は、コレルリ風のトリオ・ソナタです。
柔和で優美な響き、上品で洗練された曲想、刺激的なところはありませんが、心にじわ〜っと沁みてくる温かい音楽です。
はっきり言えばコレルリと区別がつかないほどですが、それだけ師匠のスタイルを自分のものにしていたわけです。
司祭という安定した職に就いて食いっぱぐれる心配なく、のびのび作曲したことでしょう。
おそらくとてもクレバーな人だったのではないかと。

 ソナタ ニ長調 作品1−1から第2楽章 アレグロ
 

 ソナタ ト短調 作品1−3から第1楽章 ラルゴ
 

現在忘れ去られているのは、あまりにもコレルリに似すぎているためかもしれませんが、作品は上質で気持ちよく聴けます。
作品1は緩〜急〜緩〜急の4楽章の教会ソナタのスタイル、作品2は前奏曲のあとにいくつかの舞曲が続く室内ソナタのスタイルで書かれています。

 ソナタ ハ長調 作品2−8から第1楽章 前奏曲
 

 ソナタ イ短調 作品2−6から第2楽章 クーラント
 

ボンポルティの作品で最も有名なのは「ヴァイオリンと通奏低音のための10のインヴェンション 作品10」(1712)。
「インヴェンション」というタイトルがついていますが要するにヴァイオリン・ソナタです。
この作品、J・S・バッハが楽譜を筆写して研究したために19世紀末の「旧バッハ全集」にはバッハの作品として掲載されているそうです。
人騒がせな・・・ってボンポルティには何の責任もないのですが。
むしろ全集編纂者もバッハの作品と思うほどの出来ということで、「ボンポルティすげー!」と感心してあげるべきでしょう。
またこの曲はバッハの「二声のインヴェンション」のタイトルの由来ともいわれます。

 ヴァイオリンと通奏低音のためのインヴェンション第1番 第1楽章 カンタービレ
 

 ヴァイオリンと通奏低音のためのインヴェンション第1番 第2楽章 アレグロ
 

(2020.07.24.)


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