誉田哲也/武士道シックスティーン・
武士道セブンティーン・武士道エイティーン
(文藝春秋 2007〜2009)
武士道シックスティーン | 武士道セブンティーン | 武士道エイティーン |
<ストーリー>
磯山香織は三歳から剣道ひとすじ、
パワー、スピード、勝負勘のすべてに秀でた剣道エリート。
しかも武蔵オタク(愛読書は『五輪書』と『武士道』)。
西荻早苗は日本舞踊から転身し、中学から剣道を始めた少女。
日本舞踊で習得した独特の足捌きを武器にしている。
ただし性格はお気楽、剣道にも「楽しさ」を求め「勝敗」には固執しない。
中3のとき、香織は気まぐれで出場した区民剣道大会で、なんと早苗に負けてしまう。
敗れた悔しさを忘れられない香織は、
わざわざ早苗と同じ高校に進学し剣道部に入部。
ところが早苗のほうは香織のことなどすっかり忘れていた。
スポーツ青春小説の新たなる金字塔!
いやあー、面白かった。
森絵都「DIVE!」、百田尚樹「BOX!」などに勝るとも劣らない
スポーツ青春小説の大傑作。
主人公たちの高校三年間を三冊で描きます。
三冊とも分厚くて、続けて読むと、ちょっとした大河小説的長大さですが、
時間を忘れて読みふけること請け合い。
香織と早苗の友情と成長に、年甲斐もなく胸が熱くなりました。
最後にはそれぞれの道へと踏み出してゆくふたり。
な、なんてさわやかなんだ〜! 青春だー!
つい上からの父親目線で読んでしまうのは、当方オヤジゆえ許されよ。
私は剣道やったことないので、細かい描写はよくわかりませんが、
試合場面は迫力満点・臨場感たっぷりで、読み応えあります。
あと、剣道といえば正座ですが、これも私はようしません。
そういえば法事で慣れない正座をしたあと、立ち上がった瞬間にこけてしまい
両足を同時に捻挫した人を知ってます(え、関係ない?)。
「武士道セブンティーン」の帯には「万城目学氏絶賛!」とあります。
そういえば「鹿男あをによし」も、剣道シーンが圧巻だったなあ。
あと最近の剣道小説といえば、海堂尊「ひかりの剣 」も良かったです
(剣道やったことないくせに、なぜか剣道小説は読んでるなぁ)。
しかしやっぱり、この「武士道シリーズ」が質・量ともに抜きん出ているような。
スポーツ青春小説というジャンルは、最近すばらしい作品がつぎつぎ発表されてますが、
また新たな金字塔が加わりました。
三冊そろえると高いですが、家族四人で回し読みしたので、十分モトはとれてます。
買ってきた当初は取り合いになってましたが。
(09.8.19.)