J・S・バッハ/フランス組曲
(グスタフ・レオンハルト:チェンバロ 1975年録音)



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先日、イレーヌ・ネミロフスキー「フランス組曲」という素晴らしい小説を読んだので、
久しぶりにJ・S・バッハの「フランス組曲」を聴きたくなりました。
我ながらわかりやすい性格です。

 フランス組曲 第2番ハ短調
 

「フランス組曲」は、1722年、36歳のバッハが、
前年に結婚したばかりの妻アンナ・マグダレーナ(20歳)に贈った作品。
いわば愛に満ちた「音楽の捧げもの」であり、妻も喜んでこれらの曲を弾いたことでしょう。
そう思って聴くと、ふたりのラブラブぶりや、
バッハ家の安らぎに満ちた団欒の光景が眼に浮かぶようでもあります。

ラブラブだけあって、アンナはバッハとの間に次から次へと子供を産みました(13人! うち7人は幼くして死去)
急死した前妻マリア・バルバラの子供もすでに3人いたし、家事と育児に追われたことは想像に難くないです。
安らかな団欒というよりは戦場であったかもしれません。
バッハも、家族を食わせるために必死で働きました。
ライプチヒ聖トーマス教会楽長の定収入だけでは不足で、
市民の葬式でオルガンを弾いたりして臨時収入を得ていました。
死人が少ない年には、「近頃あまり人が死なないので、収入が少ないです〜」と死神みたいな手紙を残しています。

「フランス組曲」というタイトルはバッハによるものではなく、いつ誰が名付けたのかは不明(「イギリス組曲」も同様)
しかし優雅で繊細な曲調は、いかにも「おフランスざま〜す」という感じで、ぴったりだと思います。
なおバッハは生涯ドイツから一歩も出たことはありませんでした。

グスタフ・レオンハルトの75年録音は、チェンバロによる本作品の代表的録音。
何も言うことはありません、とにかく聴けと言うしかない定盤名盤太鼓判
バッハ自身が弾いたら、きっとこんな演奏だったのではないかと思うほど。
レオンハルトは、「イギリス組曲」「パルティータ」は2回録音していますが、
「フランス組曲」はこの1回のみ。
会心の演奏であったのかもしれません。

 フランス組曲 第3番ロ短調よりメヌエット
 

2枚組になることが多い曲集ですが、レオンハルト盤は全6曲がCD1枚にきっちり収まっているのもグッドです(78分!)。

(2013.4.26.)

 フランス組曲第5番より(ピアノによる) 若手ピアニスト小林愛実の少女時代の演奏
 (やっぱり子供のころから凄かったんですね)


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