ヴォルフ・フェラーリ/ヴァイオリン・ソナタ集(全3曲)
(Davide Alogna, vn/Costantino Catena, piano)



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イタリアの作曲家って、バロック時代まではヴァイオリン・ソナタやヴァイオリン協奏曲を山ほど書いていたくせに、
19世紀以降はパガニーニを除いてこれと言ったヴァイオリン曲を書いてない気がします。
協奏曲はほぼ全滅、ヴァイオリン・ソナタではレスピーギピツエッティは名曲だと思いますが、他には・・・思いつきません。

オペラに全集中しちゃったのでしょう。
はっきり言えば、協奏曲やソナタ書いても儲からないんでしょうね、イタリアではきっと。

ヴェネツィア生まれの作曲家、ヴォルフ・フェラーリ(1976〜1948)。
御多分に漏れずオペラ作曲家として活躍し、1903年から1909年までヴェネツィアのベネディッティ・マルチェッロ音楽院の学長を務めました。
現在は歌劇「マドンナの宝石」間奏曲のみで知られる一発屋ですが・・・、しかしこの曲、ホントに綺麗ですね。

 

そんなヴォルフ・フェラーリ、3曲のヴァイオリン・ソナタを残していたとは知りませんでした。
じつはこの人、本国イタリアよりもドイツやスイスで人気があったそうです。
そのためか第一次大戦後にチューリヒに移住し、1939年からはザルツブルク・モーツァルテウムで作曲の教授も務めたそうです。

第1番ト短調作品1(1895)は、19歳の作品としては驚きの完成度。
ブラームスをさらに感傷的にしたみたいなセンチメンタルな曲ですが、メロディの美しさはピカイチです。

 第1楽章
 

第2楽章は静かな祈りの歌の、朝の澄んだ空気のようなリリシズムにウルッときます。
このまま歌詞をつけてアリアにできそう。

 

第3楽章は、緊張感ある主題によるロンド、のちのオペラ作曲家としての活躍を予見させるようなドラマティックな曲です。

 

第2番イ短調作品10(1901)はふたつの楽章からなる変化に富む曲で、それこそオペラのようです。
「ソナタなんて書いとらんと早よオペラ書けよ!」と言ってあげたくなります(余計なお世話)
起伏の大きな第1楽章、エレガントな歌が連綿と歌われる第2楽章、どちらも素敵です。

 第1楽章
 

第3番ホ長調作品27は、第2番から40年以上を経た1943年の作曲・・・ですが、まるで前期ロマン派のような古めかしさ。
とても20世紀の、それも第2次世界大戦中の曲とは思えない天真爛漫&能天気さに複雑な気持ち。
一種の現実逃避、古き良き時代に対するノスタルジアなのでしょうか。
第2楽章はわざわざ「アンダンティーノ・コン・インノセンタ(無邪気なアンダンティーノ)」と題されていて、やっぱリ確信犯なのかな。

 第2楽章 
 

 第3楽章 アジタート・コン・パッショネート (劇的で素晴らしい楽章ですが、やはり20世紀音楽ではないですね・・・)
 

3曲とも、強烈なインパクトこそありませんが歌心に満ちた美しい曲です。

ヴォルフ・フェラーリは第二次大戦後、1946年に故郷ヴェネツィアに戻り、1948年に没し、サン・ミケーレ島に埋葬されたそうです。

(2021.10.24.)

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