W・F・バッハ/ハープシコード協奏曲全集(2枚組)
(クラウディオ・アストロニオ独奏・指揮 ハルモニチェス・ムンディ)




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去る8月21日、中学吹奏楽コンクール四国大会が行われ、次女の所属する吹奏楽部も出場しました。
私も聴きに行きましたが、元気いっぱいの、とてもとても良い演奏でした。

しかし結果は・・・銀賞
ほかの学校が、さらに素晴らしかったということでょう。
まあ、四国大会に出られただけでも快挙ですし、自分なりに納得のいく演奏ができたということで、次女はサバサバしたものでした。
長女もOBとして、楽器搬送などの裏方仕事をはりきってこなしました。

成長したなあ子供たち・・・私も年取るわけだ。

さて、子供といえば、ヨハン・セバスティアン・バッハの長男・ウィルヘルム・フリーデマン・バッハ(1710〜1784)。
ことし生誕300年のアニヴァーサル・イヤーです。

しかしショパンシューマンの生誕200年はそれなりに盛り上がっていますが、ウィルヘルム・フリーデマン君、当然とはいえ、さっぱりですな・・・。
ぶっ飛んだ曲やら、ひねくれた曲やら、面白すぎる作品をいろいろ残しているのに・・・。

兄弟の中で、もっとも才能豊かといわれ、父親から溺愛されたものの、
不安定な性格や酒癖の悪さから定職・人望を失い、各地を放浪しながら最後は貧困のうちに没したという、破滅的な天才肌。

そういえば以前、鍵盤楽曲集をご紹介したこともあったなあ・・・。

と思っていたら、出ましたよ出ましたよ。

 W・F・バッハ/ハープシコード協奏曲全集(全7曲、2枚組)

2009年の最新録音ですが、ブリリアント・クラシックスなので驚きのお値段。
おまけに曲も演奏もすばらしいです。

最初におさめられたヘ短調協奏曲(1767)、いきなりやられました
モーツァルトの交響曲第25番やピアノ協奏曲第20番を予告するかのような「疾走する悲しみ」に彩られた第1楽章!
第2楽章の、哀愁の中にも深い慰めに満ちた絶品的美しさ!
そして、ほのかな哀感をたたえつつ軽やかに駆け抜ける第3楽章。
 

 いやいやいやー、これ名曲じゃありませんか!

時代的にはバロックと古典派の過渡期ということになるのでしょうが、当時の音楽にありがちな常套的な感じが全然しません
そこが「変わりもの」と呼ばれる由縁でしょうけれど、じつに新鮮。

次のヘ長調協奏曲(F44)は、第2楽章の不穏さがたまりません。
怨念がこもっているかのような不気味さ、気まぐれな転調、すでに後期モーツァルト、いやロマン派を予見しています!
間違いありません、そう決めたっ!

どの曲も、思わず「そうくるか!」と言いたくなる個性的なフレーズや響きが満載。
当時はあまり評価されなかったのも無理はありません。
音楽の新たな地平を切り開こうと、はるか極北にまで突き進んでしまい、ふと振り返ると誰もついてきていなかった、みたいな感じでしょうか。
それとも本人は何も考えず、気分のおもむくままに作曲しただけなんでしょうか。

最後におさめられた、2曲の「ふたつのハープシコードのための協奏曲」は、フリーデマンの作品としては比較的有名なもの。

ヘ長調F10は、合奏はなく、ふたつのハープシコードのみで演奏されます。
初期の作品とということもあってか、基本的に素直で晴れやか。
ひねくれフリーデマンの面影はそれほどでもありませんが、どことなく気まぐれな印象。
合わせにくそうな曲だ・・・。

変ホ長調F46は対照的に、弦楽合奏にホルン、トランペット、ティンパニが加わった大編成の曲。
華やかで祝典的ですが、ホルンとトランペットが、なんとも言えない違和感をかもしだします。
これらが吹き始めると、ハープシコードは完全にかき消されてしまうのです。
はっきり言って、ハープシコードよりホルンとトランペットが目立っているような・・・。
どういう意図で、この編成を選んだのでしょう?

とにかく只者ではありません、ウィルヘルム・フリーデマン・バッハ
妙な音楽がお好きなあなたに強力にオススメいたします。

(10.8.23.)



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