スコット・ウェスターフェルド/リヴァイアサン(2009)
ベヒモス(2010)
(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
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<ストーリー>
1914年、ヨーロッパではふたつの勢力が拮抗していた。
遺伝子操作で作り出した人造獣を駆使する英国〈ダーウィニスト〉と、
蒸気機関やディーゼル駆動の機械文明を発達させたドイツ〈クランカー〉。
両者の対立は深く、オーストリア大公夫妻の暗殺をきっかけに、世界大戦に突入。
両親を殺した一派に追われるオーストリア=ハンガリー帝国公子・アレックと、
空へ憧れるあまり男装して英国海軍航空隊に入隊した少女・デリン。
ふたりの運命が巨大人造飛行獣リヴァイアサン上で交叉する!
「三部作」なので、完結してから取り上げようと思っていたのですが・・・。
あんまりにも面白いで黙っていられなくなっただよ!
歴史改変奇想天外空想科学青春冒険小説とでもいうべきでしょうか。
クランカー側の装備はほとんどガンダムです。
「ウォーカー」という動物型の攻撃用歩行機械を人間が操縦します。
要するに「モビルスーツ」ですね。
どう考えても普通の戦車のほうが効率が良さそうですが・・・?
言うてはなりません、それを言うてはなりません!!
六本足で走るコガネムシ型タクシー・・・?
どう考えても普通の自動車のほうが・・・・
ああ 言うてはなりません、それを言うてはなりません!!
そしてダーヴィニスト側も楽しいことでは負けてません。
狼と虎を掛け合わせた人造獣に輸送車を引かせるし、
クラゲを改造した水素呼吸獣で空を飛ぶし、
ランプは「ツチボタル灯」です。
人間の言葉を寸分たがわず記憶して伝言相手まで走り、声質まで完全に再生する「伝言トカゲ」なんてのもいます。
それほどの科学力があるならテープレコーダくらい・・・
言うてはなりません、それを言うてはなりません!!
そして、リヴァイアサン。
クジラの遺伝子を基本とし、さまざまな生物のゲノムが複雑に絡まり、歯車のように組み合わされた、英国海軍が誇る巨大水素呼吸獣。
生きた空飛ぶ空母。
考えただけでワクワクしますねえ・・・船室内はちょっと臭いそうですが。
これら奇抜で緻密な(?)設定、魅力的なキャラクター。
起伏に富み、ある程度まで史実に沿ったストーリー。
しかも正統派ボーイミーツガールなんですよ、もう言うことなし!!
オーストリア公子の身分を隠してリヴァイアサンに乗り込むアレックのシチュエーションは「機動戦士ガンダム」のセイラさんの少年版。
空への憧れから男装して入隊する少女・デリンは「リボンの騎士」のサファイアか「ベルサイユのばら」のオスカルか。
第2部「ベヒモス」の後半から、彼らの肩に乗って冒険を共にする小さな人造獣「ボブリル」は・・・これって「ナウシカ」のテトじゃないですか?
1冊あたり50枚ほど挿入された挿絵も楽しめ、古き良き少年冒険小説の味わい。
第3部「ゴリアテ」は、2012年12月発売とのこと。
いまから待ち遠しいことであります。
(2012.6.23.)
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