スコット・ウエスターフェルド/ゴリアテ
(2012)
Amazon.co.jp : ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器―
楽天ブックス : 【送料無料】ゴリアテ
<ストーリー>
イスタンブールでドイツの野望を打ち砕いたオーストリア=ハンガリー帝国公子アレックと男装の士官候補生デリン。
英国海軍の飛行獣リヴァイアサンで東京へ向かう途中、彼らはロシアのツングースカで驚異の光景を目にする。
その状況を引き起こした科学者ニコラ・テスラは、戦争終結を可能とする強力な新兵器ゴリアテをニューヨークで製造中と述べる。
戦争終結を願うアレックは、テスラに接近するが…。
アレックの願いはかなうのか。そしてデリンの、アレックへの密かな想いの行方は?
スチームパンク冒険譚三部作、完結。
「ゴリアテ」・・・
このタイトルがふと「ゴリヤク」に読めてしまう、悲しき受験生の親です。
お正月はたくさん神社にお参りしたなあ。
スコット・ウエスターフェルドの「リヴァイアサン」シリーズ、
「リヴァイアサン」「ベヒモス」に続く第3部にして完結編「ゴリアテ」。
まさに正しい冒険スチームパンクSF、読者の期待を裏切らず、最後まで安心して読めます。
日本という国が、かなり好意的なイメージで描かれているのも嬉しい驚き。
前世紀には考えられなかったことです。
最近の「クール・ジャパン」ムーヴメントのおかげでしょうか。
日本人技術者では、クランカー(機械屋)代表・豊田佐吉、ダーヴィニスト(人造生物屋)代表・御木本幸吉の名前が出てきます。
そして日本製人造獣「カッパ」は、殺戮の限りを尽くしてくれます!(←ちょっとグロい)
この小説、単純な「悪役」が存在しないのも良いです。
戦争では一方が悪で他方が善であることは無いのですから。
「正義の反対は悪じゃないんだ、正義の反対はまた別の正義なんだよ」(by 野原ひろし)
これを肝に銘じておかないといけません・・・って、そこまで深読みする必要はないかな。
あえて言わせてもらえば、人造獣・ロリスはもっと活躍するものと思っていたので、その点のみ肩透かし。
お約束の大破壊・戦闘的クライマックスに続き、気持ちの良いハッピーエンド、
作中では戦争まだ終わっていないんですが(あ、そうだったんだ!)、読後感は大変グッドです。
それにしても早川書房「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」は、読み応えのある作品ばかりで楽しいです。
先日、コニー・ウィリス「ブラックアウト」を読んだのですが、これまた最高の面白さ。
完結編「オール・クリア」が出たら取り上げたいと思ってます。
(2013.1.20.)
関連記事
スコット・ウェスターフィールド/「リヴァイアサン」「ベヒモス」