チャールズ・グリフェス/ピアノ作品集 "The Vale of Dreams"
(Emanuele Torquati:Piano)




Amazon : The Vale Of Dreams

Tower : The Vale of Dreams

<曲目>
3つの音の絵 作品5(夕暮れの湖/夢の谷/夜の風)
冬の光景
幻想小曲集 作品6(舟歌/夜想曲/スケルツォ)
狂詩曲 ロ短調
深き淵より
ローマのスケッチ 作品7(白い孔雀/夜の滝/アクア・パオラの噴水/雲)
ピアノ・ソナタ


チャールズ・グリフェス/ピアノ作品集 "The Vale of Dreams"

まずは聴いてみてください。

 

印象派風の繊細な響き、どこかノスタルジックな気配も漂わせています。
ヒーリングミュージックとして聞き流しても悪くないですが、決してそれだけの音楽ではありません。
ドビュッシー、ラヴェル、スクリアビンの影響が感じられ、隅々まで神経の行き届いた響きは精妙にして妖艶。
ほの暗い表情でメランコリックに紡がれる濃密なロマンティシズム、こういうのメチャクチャ好みなんですけど!!

チャールズ・トムリンソン・グリフェス(Charles Tomlinson Griffes, 1884〜1920)はアメリカの作曲家で、ベルリンに留学しフンパーティンクに師事しました。
1907年に帰国後は活発な音楽活動を繰り広げましたが、1920年スペイン風邪により36歳の若さで亡くなりました
(新型コロナウイルスに翻弄されている我々も他人事ではないですね・・・)。
つまり今年2020年は、没後100年にあたります。

ベルリンに留学していたわりに作風はフランス印象派で、さらにアメリカ先住民音楽のエッセンスなども取り入れようとしていたそうです。
渡米中の山田耕作や日本人舞踏家との交流もあったそうで、東洋的な味わいの作品も残しています。
作風の幅を広げつつあった途上での急死、長生きしていたらどれほどの名曲を残してくれたことでしょう。

このCDはグリフェスのピアノ独奏曲を80分たっぷり詰め込んだ1枚、代表作はだいたい収められています。
演奏もハイレベルで、いくらか内向的な抒情の気配を感じさせつつ、夢見るような魅力を最大限に引き出しています。
のんびり聴いていると曲が変わったのにも気がつかないほどですが、気持ちいいからまあいいか。
グリフェスのピアノ曲は以前ナクソス・レーベルからも出ていたのですが、演奏は明らかにこのCDのほうが上。
もっともナクソス盤はCD2枚に及ぶ「全集」として資料的価値はありますが。

(2020.07.04.)


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