椎名林檎/唄ひ手冥利〜其ノ壱
(東芝EMI  TOCT 24780/1)



(見、見にくい・・・・)
Amazon.co.jp : 唄ひ手冥利~其の壱~


椎名林檎さんの、久々の新作(1年2ヶ月くらい?)、2枚組カバー集です。
林檎さんのカバーといえば、ユーミンのトリビュート・アルバム「Dear Yuming」(ソニー SRCL 4649)(1999年)の中の、
「翳りゆく部屋」が、忘れられません。
あのアルバム中で唯一、ユーミン自身のヴァージョンを超えてました。
オリジナル・ヴァージョンの、絵空事・奇麗事っぽい雰囲気を、
ざっくり切り裂いて血が吹きだしてきたようなのが林檎ヴァージョンでした。
このひとは、「言霊」ならぬ「曲霊」にとりつかれている、と思ったもんです。

さて、この「唄ひ手冥利」、白いほう(亀ディスク)から聴きはじめました。
1曲目「灰色の瞳」、いきなり情念ヴォーカルが炸裂です。
加藤登紀子のオリジナル・ヴァージョンは聴いたことがないのですが、これはいい、と思いました。
次が「more」。面白い選曲ですが、サラサラと歌う林檎嬢にアレッという感じ。
英語詞には感情が込めにくいのかな。でも歌はうまいですね。
素直な歌い方なので、ヴォーカリストとしての実力が伝わってくるようです。

全体に、日本語の歌は感情を込めて泥臭く歌い、
外国語の歌はいろんな歌い方を楽しんでいるという印象です。
例外は、ジャニス・イアン「Love Is Blind」
林檎嬢自身、「ジャニス・イアンを自らと思い込んでいた(シドと白昼夢)」ほどの人ですから、
この曲に対する思い入れが半端じゃないことを、ひしひしと感じさせる歌いっぷリ。
しっかり鬼気迫ってます。
しかしこの人、70年代が全盛期だったジャニス・イアンのファンに、いつなったんでしょう?

もう1枚の黒いほう(森ディスク)は、全曲外国語詞。
60〜70年代のスタンダード・ナンバーを中心とした選曲で、落ち着いた雰囲気です。
「枯葉」は、かなりピアフを意識した歌い方、
カーペンターズの「I Won't Last a Day Without You」も、カレン・カーペンターぽい声を意識的に作ってるような(?)。
「黒いオルフェ」もなかなか聴かせます。
とにかく、余裕を持って楽しそうにいろいろ演っています。
こういうのを良しとするか、林檎っぽい毒が無くてもの足りないと思うか、好みが分かれるところですが、
私はけっこう楽しみました。

それにしても選曲は林檎さん自身によるものなのでしょうが、渋いですね。
とても23歳の趣味とは思えない・・・
10代20代の人は、知らない曲のほうが多いのではないでしょうか?
ただこの2枚組は、椎名林檎としてはあくまでも番外編。
オリジナル作品にも期待したいところです。
(02.6.2.記)


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