冨田勲/月の光
Isao Tomita/Snowflakes Are Dancing
(1975)



Amazon.co.jp : Debussy: Snowflakes Are Dancing/ Tomita(Digital Remasterd)

HMV : Snowflakes Are Dancing (Digital Remasterd) icon



雪は踊っている(冨田勲)


雪は踊っている(原曲)

寒いですね・・・。
私が住むのは、四国の瀬戸内海沿岸の小さな町。
田舎ですが、気候は穏やかで温暖なのが取り柄。
しかし今年の冬は寒いのなんのって。
ときどき雪がちらほらしてます。
こりゃ何年ぶりかで積もるかも。

雪国の人には指さして笑われそうですが、
先日は出勤しようとしたら車のフロントグラスに氷が張っていてびっくり。
ホースで水道の水をかけたら、溶けるどころかさらに凍ってしまいました(←阿呆)。
あわてて家に入って風呂の残り湯を汲んできてかけたら、すぐ溶けましたが
いつもぎりぎりにしか家を出ない私、しっかり遅刻しました。

それでも、雪が舞う景色は幻想的で美しいもの。
雪害に悩む雪国の人には怒られそうですが、ここではめったに見られないので。


さて、ひらひらと舞う雪を見ると、私の脳裏に条件反射的に響き渡るのが

 ドビュッシー/雪は踊っている

それも冨田勲のシンセサイザー版です。

冨田勲のシンセサイザー奏者としてのデビュー・アルバム「月の光」の最初に収められている曲です。
はじめてトミタ・サウンドを聴いたのは「展覧会の絵」のLP。
電子音がめまぐるしく飛び交い、音が右へ左へ前へ奥へ動きまわるのに目が回りそうになりました。
これで冨田教信者になった私、つづいてこの「月の光」を聴いて、もう「どこまでもついていきます!」状態、
「惑星」「火の鳥」
・・・、出るたびに買いました。

アルバム「月の光」ドビュッシーのピアノ曲から10曲を選んでシンセサイザーに編曲したもの。
冨田勲の鋭く繊細でありながらスケールの大きい音選びのセンスは、もう脱帽・土下座・五体投地もの。
このアルバムで初めて聴いた曲も多く、のちに原曲を聴いたら
ピアノの音しかしないので単調で物足りなく感じてしまったほどです。

LPは文字通り溝が擦り切れ針音がプチプチいうまで聴いたので、
1986年にCD化された時には、すぐさま鼻息荒く大枚3200円をはたいて購入しました。
しかし・・・ヒスノイズが目立ち、大きな音は割れがちの残念な音質でがっかりしたものです。
我慢して聴きましたけど。

最近ふと思い立ってアマゾンで検索すると・・・
デジタルリマスターされたCDが安く売ってるじゃありませんか!
買ってみると、

 ・・・なんということでしょう、耳ざわりだったヒスノイズはきれいに消え、
 木曽のあばら屋さんはあの懐かしくも幻想的なシンセサイザーの響きに
 安心して浸れるようになったではありませんか!

気分はビフォアアフター、デジタルリマスターの匠の技に涙ぐみながら鑑賞しました。
37年も前のアルバムとは思えない斬新さ。
おまけに、ボーナストラックとして「牧神の午後への前奏曲」まで入っています!
人間の声を模した音の多用に、「ヴォーカロイドの先駆は冨田勲であったのだ!」といまさら気づいたり、
久しぶりに聴くと新しい発見があってとても楽しかったです。

(2012.12.15.)

アラベスク第1番(冨田勲)


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