冨田勲/ムソルグスキー/展覧会の絵
(冨田勲:シンセサイザー 1975年)
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R.I.P.冨田勲(1932〜2016)
冨田勲が亡くなったそうです。 享年84歳。
「新日本紀行」「きょうの料理」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」などTV音楽もおなじみですが、
私にとって冨田勲といえば、シンセサイザー版「展覧会の絵」の人。
冨田勲のシンセサイザー・アルバムの第2作でした。
高校生の頃、LPを買って帰って部屋で再生、文字通り目を回しました。
音が右に左に前に後ろに飛び回る様はまさにマジック。
目をつむって聴くと軽くトリップ、「み、未来の音楽だ〜」と思ったもんです。
人間の声のような音が頻用され、暖かく柔らかい響きの「プロムナード」。
つづく「こびと」では、「びよよよ〜ん!」という音に度肝を抜かれ、動き回る音像が走り回るこびとを連想させます。
「ブイドロ」は不気味なオッサンの唸り声がとってもチャーミングだし、。
「卵の殻を付けたヒナの踊り」は、ひよことアヒルと猫がくんずほぐれつ走り回って楽しい楽しい。
「キエフの大きな門」ではラスト近くに登場する詩吟を唸るような男の声が超印象的。
そして、随所に出てくる「パピプペ語」の怪しいオッサンは トミタ・サウンドのトレードマーク。
「展覧会の絵」のあと、第1作「月の光」を聴いてこれまた魅了され、すっかり冨田教の信者となった私、「火の鳥」「惑星」と、ワクワクしながら聴きました。
デジタルな電子音楽に聴こえますが、シンセサイザーの音を数十回、ときには100回以上重ね合わせて作るサウンドは、じつは手作業の極致、
きわめてアナログであり、多大な労力を要するんだそうです。
残念ながら現代において、トミタ・サウンドの後継者は存在しません。
ワン・アンド・オンリー、真に偉大なアーティストでした。
(2016.05.08.)