グロリア・エステファン/ミ・ティエラ
(1993)
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今は冬。 寒いです。
寒い冬に、いっそヴォーン=ウィリアムズの「南極交響曲」やチャイコフスキーの「冬の日の幻想」を聴くのも悪くないですが、
私は寒いときには熱い音楽が聴きたいほうです。
例えばマイアミのミュージック・クイーンであるグロリア・エステファンをかけながら
冷やした白ワインをクイッとやったりして・・・ああ、いいですねえ。
グロリア・エステファンは1957年キューバ生まれ。
彼女が1歳のとき、カストロによるキューバ革命が起こり、3歳のとき一家はアメリカに亡命。
父親は反カストロ派活動家となり、キューバに潜入し逮捕されたりして、一家は貧困にあえぎます。
グロリアは苦労してマイアミ大学に入学、そこで知り合ったエミリオ・エステファンとともに音楽活動を開始。
卒業後、結婚し、「マイアミ・サウンド・マシーン」を結成、やがて全米でも指折りの人気ポップスグループとなりました。
まさにアメリカン・ドリームの体現者です。
彼女の数あるディスクの中でもとくに好きなのが、93年発表の「ミ・ティエラ」。
それまで基本的に英語で歌ってきたグロリアが、全曲スペイン語で、キューバ系のミュージシャンを起用し、
自らのルーツであるキューバ風ラテン・ポップスに挑んでいます。
初めて聴いたとき、てっきりキューバのトラディショナル・ソングかスタンダード・ナンバー集だと思ったのですが、
ほとんどの曲がエステファン夫妻のオリジナルということでびっくり仰天。
スタンダード・ナンバーとしか思えないほど完成度の高い曲がずらりと並んでいます。
Mi Tierra
Con Los Anos Que Me Quedan
「カストロは嫌いだけどキューバは好き」と語る彼女の、成熟した魅力全開の一枚。
「ミ・ティエラ」とは「私の故郷」という意味。 祖国キューバへの熱い思いもこめられています。
発表から10年たちましたが、全く古びていないのも凄いです (最初からクラシカルな音ではありましたが)。
良質なラテン・ポップスの名盤として、まさに貫禄の一枚。
Mi Buen Amor
(03.1.5.記)
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