パメラ・トービー/バロック・リコーダー協奏曲集
(LINN CKD183)




Amazon.co.jp : Baroque Recorder Concertos

Tower@jp : Baroque Recorder Concertos / Pamela Thorby

<曲目>
ヴィヴァルディ/リコーダー協奏曲ト長調 RV443
テレマン/リコーダーと弦楽のための組曲 イ短調
サンマルティーニ/リコーダー協奏曲 ヘ長調
ヴィヴァルディ/リコーダー協奏曲ハ短調 RV441
ヴィヴァルディ/リコーダー協奏曲ハ長調 RV444

パラディアン・アンサンブルで、見事なリコーダーを聴かせてくれているパメラ・トービー
初のソロ・アルバムは、ヴィヴァルディ、テレマンなどのバロック・リコーダー協奏作品集。

まず、そのテクニック、見事の一言。
高音の早いパッセージでも全く乱れることなく、きらめくような音の粒を並べてゆきます。
そして素晴らしいのが表現力。
どういう吹き方をしているのか、音色も多彩に、奥行きのある演奏を繰り広げます。
キレの良さは、盟友レイチェル・ポッジャーのヴァイオリンに通じるものがあります。
リコーダーってこんなに表現力豊かな楽器だったのか! 
と、耳からウロコがぼろぼろ落ちる思いであります(・・・なんかきたないぞ)。

バックの素晴らしさも特筆もの。
バロック・ヴァイオリンの名手、モニカ・ハジェット率いる「ソネリー」が、いきいきした演奏で支えています。
バロック期の協奏曲では、事務的に伴奏をつけるだけの演奏もときに見かけますが、
「ソネリー」はアグレッシヴなプレイで、トービーのリコーダーとスリリングに渡り合います。

 ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲ハ短調 RV.441 第1楽章
 

これを機会に1960年代のフランス・ブリュッヘンの演奏を聴き返してみたところ、この30数年のリコーダー演奏の進歩を実感しました。
ブリュッヘンは確かに偉大ですが、ヴィヴァルディのRV441ではややたどたどしい箇所もあり、
当時のリコーダー界がまだ技術的には発展途上であったことを思わせます。
「楽器の表現力に限界を感じて」リコーダーを捨て、指揮に転向したブリュッヘンですが、
このパメラの演奏を聴けば、考え直してくれるかも???

 テレマン:リコーダーと弦楽のための組曲 序曲
 

なお、LINNの、残響豊かで雰囲気のある録音も、とても素晴らしいです。
柔らかな音で、聴き疲れしません。

(02.8.17.記)


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