ビル・ブライソン/人類が知っていることすべての短い歴史
(NHK出版 2006年)



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線虫からキャメロン・ディアスに至るまで、ありとあらゆる生き物の構造は、
カンブリア爆発で初めて生み出されたものなのだ
(437ページ)


みなさまこんにちは。

自分でも信じられないのですが、
かつて私は、仕事の一環として科学実験などやっていた時期がございました。
その結果得られた教訓は、
「科学の進歩のために自分ができる最善のことは、この分野から身をひくことだ」
でした。
にもかかわらずというか、だからこそ、科学ノンフィクションを読むの、好きだったりします。

この本は、いままでに読んだ科学ノンフィクションのなかで、一番の欲張りさんと断言できる一冊。
600ページあまりで、宇宙物理学、化学、地質学、生物学、海洋学、考古学・・・・
いろいろな分野の歴史と最前線を、軽妙なステップで渡り歩きます。
数学と医学もとりあげていたら、1000ページを軽く越えていたはず。
いわば「ザ・ベスト・オブ・科学史」とでも言えましょうか。

著者のビル・ブライソンは、笑えて読み応えのあるコラムで定評ある書き手
(以前「ドーナツをくれる郵便局と消えゆくダイナー」というコラム集を読みました)。

「明快でわくわくするような教科書に出会わなかったせいで、私は科学がこのうえなく退屈なものだと信じこんで育った」
というブライソンが、3年掛けて多数の専門家に取材し、世界の成り立ちの解明に挑んだ本書。
ミクロの世界から巨大な宇宙の物理学まで素人目線で解説、薬味のギャグも効いてます。

私が印象に残ったのはむしろ、わからないことがまだこんなにあるのだな、ということ。
海底の地形は火星のそれ以上に不明だし、地球上に存在する生物種の数は桁数すらはっきりしない。
原始の海の中で生命がどのように生まれたのかも、じつはまだ納得の行く説明はありません
(「コップの中に砂糖を入れて、角砂糖を作ろうとするのに似たところがある」(392ページ))。

それにしても、
「こんなに何にもわかってないのに、なんとかなってるんだから人類すごいぞ!」
と感心してしまった私は、相変わらず能天気なことでございます。

(07.9.7.)


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