周防正行監督/Shall We ダンス?
(1996)



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Tower@jp : Shall we ダンス?

<ストーリー>
平凡な中年サラリーマン杉山正平は、通勤電車から見えるダンス教室の窓に、物憂げに佇むひとりの女性を見つけた。
マイホームのローンはあるものの家庭にも会社にも不満はない、しかしなんとなくむなしさを感じる日々。
おそるおそるダンス教室の扉を開くと、そこには「社交ダンス」の摩訶不思議な世界が広がっていた・・・。


私がチェロを始めたのは2009年の末。

以前から、「チェロやってみたいなあ〜」

と漠然と思っていたのですが、まあ定年後、ヒマになってからのつもりだったのです。
しかし2009年の終わりごろ、ひょんなことから「今からやる!」と思い立ちまして、いきなり始めました。

以来、チェロを弾くというよりは、楽器にいいようにあしらわれる毎日を送っています。
せめて楽器と対等なパートナーになりたいと思いながら悪戦苦闘。
しかし40代後半になってから始めると、上達速度はなかなか厳しいものがありますね(←単に自分がドンクサイだけ?)
家族に迷惑がられながら頑張っていますが、いまだに人さまにお聞かせできるほどの音は出ません。
気長にやるしかない・・・。


さて、中年男が習い事をはじめると言えば思いだすのが

 映画「Shall We ダンス?」(1996)

 偶然「社交ダンス」の世界に足を踏み入れた平凡なサラリーマン・杉山。
 じつは彼には天才的なダンスの才能が潜んでいた!
 秘密兵器「ダンサー養成ギプス」により天賦の才を開花させた杉山は、関東ダンス・コンテストでいきなり優勝をさらい、全国大会へ。
 宿命のライバルとの出会い・友情・別れ・・・。
 激戦の末、日本の頂点に立った杉山は、世界大会が行われる社交ダンスの聖地・ブラックプールへ旅立つのだった・・・・。

・・・というお話ではなくて、

美しい女性講師に憧れてふらふらと社交ダンスをはじめた主人公が、
徐々にダンスにのめり込み、生きる喜びや張り合いを見つけてゆく、ハートウォーミングな佳作です。
細かいところまで丁寧に作られていて、見飽きません。

初めて観たときは平凡なサラリーマン役の役所広司にびっくり。
「タンポポ」の白服のヤクザのイメージが強烈だったので・・・。
羊のようにおとなしい、ちょっと疲れたサラリーマンを自然かつ自在に演じます。
しかも、ダンスが上達するにつれ、活き活きとした表情に変わってゆく演技の見事なこと。

竹中直人・渡辺えり子の怪演と、草村礼子(ダンスの先生役)の端正な演技とのコントラストも印象的。
草村礼子演じる「たま子先生」の存在が、ストーリーの柱というか芯棒になっています。

芸達者な名優に囲まれて、映画初出演の草刈民代の無表情・棒読みぶりはどうしても目立ちますが、
頑ななまでに生真面目な「舞」らしさがかえって伝わるような気も。
凛とした風情と身のこなしの美しさは絶品です。

忘れてはいけないのが大貫妙子が歌う主題歌「シャル・ウィ・ダンス?」
もともとミュージカル映画「王様と私」の挿入歌ですが、原曲以上に魅力的な歌唱にとろけそうになります。

今回久しぶりに観かえしましたが、いつ見ても気分が明るくなる良い映画。
2004年にハリウッドでリメイクされたそうですが、そちらは観たことがありません。

 Shall We ダンス? ラスト・シーン
 

 Shall we ダンス? Fan Trailer
 

(2013.3.12.)



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