「ひまわりの海〜セヴラック:ピアノ作品集」
(演奏:舘野泉)
(ワーナー WPCS 11028/9、2枚組)
Amazon.co.jp : ひまわりの海〜セヴラック:ピアノ作品集
デオダ・ド・セヴラック(1872〜1921)は、フランスの作曲家。
サン・フェリックスという南部の田舎町で生まれた彼は、パリ音楽院に入ったものの厳格な校風に嫌気がさし、
ライバル校のスコラ・カントルムに移り、ダンディ、アルベニスなど一流作曲家に学びます。
しかし結局10年ほどでパリを離れ、スペイン国境に近いセレという田舎町に定住、穏やかな田園生活を送りました。
田舎ものとしては、なかなか親近感のわく人です。
彼の曲はまるで、モネ、マネ、ミレー、コローなどの絵を音楽にしたかのよう。
音で描いた田園風景であり、印象派絵画です。
各曲には詩的なタイトルがつけられています。
「春の墓地のひと隅」 「村のヴァイオリン弾きと落穂拾いの女たち」 「お祖母さまが撫でてくれる」・・・
ドビュッシーは彼の作品を 「とても素敵な香りのする音楽」と評しました。
とくに素晴らしいのは、「日なたで水浴びする女たち」という7分足らずの曲。
日の光を受けてきらめく水しぶき、女たちの嬌声までが聞こえてくるようで、思わずのぞいてみたく・・・あ、いやいや。
(このCDの演奏ではありません)
CD2の後半におさめられた「休暇の日々から」という曲集には、2〜3分の小品がたくさん集められています。
簡潔な書法ながら、愛らしいメロディ、やさしい響きが存分に盛り込まれ、じつにくつろげます。 これ気に入りましたね〜。
小春日和の縁側で煎茶をすすりながら日向ぼっこをしているような気持ちになります(作曲者フランス人なんですけど・・・)。
ロマンティックですが、決してセンチメンタルではないのもいいところ、
カラリと乾燥して、べたついたところのない音楽、聴き疲れしません。
「休暇の日々から」より「古いオルゴールが聴こえるとき」
(可憐で素朴な味わい!)
「休暇の日々から」より「ロマンティックなワルツ」
(仔馬が跳ねているような明るいワルツ)
ピアニスト舘野泉 氏は、以前からセヴラックにほれ込んでいたそうで、これはまさに満を持してのレコーディング。
美しいジャケット写真も、舘野氏の撮影です。
(03.12.29.記)
関連記事
濱田滋郎/南の音詩人たち〜アルベニス、セヴラック、モンポウの音楽