千住真理子/ヴァイオリニスト20の哲学
(ヤマハミュージックメディア 2014)
Amazon.co.jp : ヴァイオリニスト 20の哲学
ただいま練習中の、バッハ/無伴奏チェロ組曲第5番・プレリュード。
む、難しすぎる! 長すぎる!
7〜8分もかかる複雑な曲で、暗譜はハナから放棄です(最近記憶力がちょっと・・・)。
似たような音型が何度も出てくるので、楽譜から目を離すと、どこを弾いているのかわからなくなります。
そもそも私ごときが挑戦することは許されない曲だったんじゃ?
しかし乗りかかった船、毒を食らわば皿まで、死なばもろとも、ツワモノどもが夢のあとです(←自分でも何言ってるのかわからん)。
できるところまでやってみようと今日も体当たりで練習しては家族から「うるさい!」とひんしゅくを買っています。
さて先日書店で見かけたこの本。
千住真理子/ヴァイオリニスト20の哲学
ヴァイオリニスト・千住真理子のエッセイです。
よくある、人気クラシック演奏家がちゃらちゃらと書き流した内容の薄い本(←偏見)かなと思いつつも、
カバー写真の眼光の鋭さ(はっきり言って怖い)、「『一生懸命』では生ぬるい」という挑発的な帯の文句にただならぬものを感じ、手に取ってしまいました。
表紙見返しには、鉛筆で膨大な書き込みがされたイザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタの楽譜。
「孤独のうた」「中島みゆきの世界」「大切にひく おびえる心」「時間に流されずに時に立ち止まる」などの言葉が所狭しと書き殴られ、不思議に美しい。
パラパラページをめくってみれば、内容もなかなか刺激的じゃありませんかこれは。
思わず買ってしまいました。
ひとことで言えば、音楽に対する心構えを本音で語った本。
ある程度真剣に音楽をやってる人が対象のように思いますが、
私みたいな者が読んでも「なるほどなあ」と感心するところ多数。
というか多少でも音楽が好きな人なら面白く読めそうです。
何をやるにしても、ある一時「がむしゃらにやる」ということはとても大切なことです・
がむしゃら、とはどういうことでしょう。 「一生懸命」をもう一歩乗り越えることです。
何かに取りつかれたように、ということです。 (16ページ)
千住真理子の「がむしゃら」とは、食事もトイレも忘れて1日14時間練習すること。
それをしばらく続けると、目に見えるほど進歩するのが自分にもわかるんだそうで。
かりにもプロの音楽家をやってる人は、大かれ少なかれ「がむしゃら」をやってきたはずだとのこと。
音楽に限らず何でもそうかもしれません。
もちろん若い頃にやるべきで、私のようなおっさんがやると体を壊します。
そういえば私も若い頃はがむしゃらに酒を飲んだことがあったなあ〜(←全然自慢にならん)。
参考になったのが「千住流部分練習法」。
通して練習するのでなく、曲の一番苦手なところだけを徹底的にさらう。
そこを克服したら、二番目に苦手な部分を集中的に練習する。
そうすると最後には全部弾けるようになっている、という理屈。
なるほどと思いまして、今やってる曲の一番難しいと思われる個所をしっかり練習しました(1時間足らずですが)。
・・・全然弾けるようになりません。
翌日もやってみました。
・・・ほとんど進歩しません。
どうやら私は、せめて弾けるところをしっかり弾いて、難しいところはいかに誤魔化すかを工夫したほうが良さそうです(←志低い)。
この本、千住真理子流の集中法やスタミナ維持法についてもセキララに書かれています。
鏡の前で自分のほっぺた平手打ちするとか、生卵を4つも5つも飲むなど(ロッキーかい)、つっこみどころ満載です、楽しめました。
(2015.01.18.)