ヴィヴァルディ/モテット「正しい怒りの激しさに」ほか
(サンドリーヌ・ピオー:ソプラノ オッタヴィオ・ダントーネ指揮 アカデミア・ビザンチナ)



Amazon.co.jp:ヴィヴァルディ:モテット「正しい怒りの激しさに」

ソプラノと合奏のための華麗なる協奏曲

<曲目>
ヴィヴァルディ
モテット「正しい怒りの激しさに」 RV626
シンフォニア ロ短調 「聖なる墓にて」 RV169
詩篇「主の僕たちよ、主を讃えよ」 RV601
ヴァイオリンとオルガンのための協奏曲 ニ短調 RV541
ヴァイオリン協奏曲 ヘ長調 「聖ロレンツォの祝日のために」 RV286


ファッショナブルジャケットヴィヴィッドサウンド
naiveレーベル、ヴィヴァルディ・エディションの旧譜です。
たしか1年ほど前に古楽系ブログで評判になってました。 いまごろ聴いてます。

なんと言っても聴きものは、モテット「正しい怒りの激しさに」 RV626
サンドリーヌ・ピオー Sandrine Piau のソプラノはまさしく最終兵器かっ! 
有無を言わせぬ歌唱です。
なにしろ「正しい怒り」ですからね。 言い逃れできないです。 こわいですね(←意味不明)。
歌詞の内容はよくわかりませんが純粋に器楽的に楽しめます。 悦楽極楽。

 

とくに第4楽章「アレルヤ」、歌詞は「アレルヤ」を繰り返してるだけ、完全にソプラノ・コンチェルト状態。
突然のオクターブ跳躍など、こんなに攻撃的な「アレルヤ」ってどうよ、と一瞬考えないでもありませんが、
圧倒的な歌唱と演奏に飲み込まれる快感に浸ってしまうのであります。
中途半端なロックよりもずーっとパンクです。

 

今回、エリー・アメリンクの歌う同曲と聴き比べてみたのですが、
ピオーのほうが破壊力3割増しって感じでした。 破壊してどうする。

シンフォニア「聖なる墓にて」は、「アダージョ・カラヤン」に第1楽章が収録されたことで(一部で)有名な渋い曲。
色々な解釈ができる曲ですが、このCDは、お墓の上に舞い落ちる枯葉、みたいな静寂・寂寥系演奏。
ちなみにカラヤンは「こりゃマーラーかい!」と言いたくなる絶美な浪漫全開ヴァージョン、
ビオンディ/エウローパ・ガランテは、墓から甦えった幽霊がユラユラ」踊ってるような演奏(←どんなんや!)を聴かせます。 みな個性的。

詩篇「主の僕たちよ、主を讃えよ」
ふたたびピオーが登場、曲調のせいもあり前曲より抑制の効いた歌唱ですが、
その透明な歌声には後光&オーラがさして見えるようです。
そして最終楽章「アーメン」(歌詞は「アーメン」のみ)では華麗で鮮やかなテクニックを楽しませてくれます。

あとの協奏曲2曲はもうオマケみたいなもの、曲も演奏も良いですが、
正直ピオーの歌をもう少し聴きたかった。

(07.12.8.)


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