ガース・ニクス/サブリエル〜冥界の扉(1995)
(主婦の友社 
2006年親本は2002年

サブリエル―冥界の扉〈上〉 サブリエル―冥界の扉〈下〉


<ストーリー>
古王国、魔術が栄え、死霊が徘徊し、冥界への扉が開かれている国。
そこで、迷える魂を冥界に送り返すのが役目のアブホーセンが、謎の失踪をします。
アブホーセンの娘サブリエルは、 魔術の通じない現実の国アンセルスティエールの寄宿学校暮らしですが、
不吉な化け物が、父の剣と魔術の道具を届けてきます。
古王国でなにかが起こっている―サブリエルは父を捜しに、単身、『壁』を越えて古王国へと旅立ちます。


「古王国記三部作」堂々の開幕!


正式には「古王国記T」
正統派ファンタジーです。

剣と魔法の世界、旅の仲間たち、主人公の成長、隠された能力の目覚め・・・・
いかにもな設定、お約束の展開、どこかで見たようなキャラクター・・・
ファンタジーを絵に描いて、額に入れて、神棚に飾って、御神酒を供えたみたいなパターンどおりのファンタジーですがな。

それがなんでこんなにも面白いんじゃー!

やはりスピーディな展開がポイントでしょうか。
寄り道・回り道なし、グイグイ進むストーリーの小気味よさ。
長編小説では、ころころ視点が変ったり、ふいに時間が前後したりして、
ボーッとした読者は置いてけぼりをくらうことがままありますが、この本はまっすぐ一直線、読みやすいです。 
飲みながら読んでも大丈夫でした。 へへへ。

次々に訪れるハプニングは、とってつけたところがなく、
まるであつらえたかのように着実に主人公を鍛え、成長させてゆきます(実際、あつらえてるんですけどね)
少しずつ謎が解けてゆく過程も、実にうまいこと書かれてまして、ページをめくる手が止まりません。
本に「キベス」の術がかかっているに違いありません(←わからんって)

終盤、ボスキャラとの戦いの緊迫感・盛り上がりも素晴らしい。
最後は意外な方法で敵を仕留めるのですが、ちゃんと伏線が張ってあるうえ、
ヴィジュアル的にもかなり面白いものがあります。 ××になっちゃうとは・・・。

三部作の続き、「ライラエル―氷の迷宮」、「アブホーセン―聖賢の絆」も、まもなく文庫化されるとは思いますが、
待てんっ、とても待てないぞー!!
(・・・結局、Amazonに駆け込んでしまいました)

ところで、著者のガース・ニクス、オーストラリア人です。
主人公の少女サブリエルをじつに魅力的に描いているので、女流作家かな? と思ったら、オッサンでした・・・。

(06.9.21.) 


Amazon.co.jp : サブリエル―冥界の扉(ハードカヴァー版)


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