ガース・ニクス/ライラエル(2001)
ガース・ニクス/アブホーセン(2003)
(主婦の友社)
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<ストーリー>
『サブリエル』の死闘から十四年。
クレア氷河の奥では、ライラエルという少女が絶望に打ちひしがれていました。
十四歳になってもいまだ「先視の力」を授からない彼女は、クレア一族のつまはじきもの。
ついに自殺を決心し、絶壁の崖の上に立つライラエル。
だが、そんな彼女の目の前に、ほかでもないサブリエルが現れます。
そして千年以上も前に予言されていたというライラエルの運命が、徐々に明らかに・・・。
「古王国記三部作」堂々の完結!
いやあ、面白かったですな。
残念ながらまだ文庫になっていませんので(06年9月現在)、
両手に一冊ずつ持てばダンベル体操が出来そうな分厚いハードカバーで読みました。
仰向けで寝転がって読むと、非常に腕が疲れます。
第2部「ライラエル」
例によってストーリー自体に推進力があるように、ぐいぐい引っ張ってくれるので、すいすい読めてしまいます。
自分にだけなぜ「先見の力」が授からないのか、思い悩む主人公。
典型的「みにくいアヒルの子」パターンなのですが、語り口が巧妙で読者の気をそらせません。
サブリエルの息子・サメスも登場。 彼もまた、したい事とするべき事との間で引き裂かれ、悩んでいます。
第2部は、ライラエルの出生の秘密が明かされるところで終わってしまうので、
これはもう可及的速やかに第3部「アブホーセン」を読まないことには禁断症状で手が震えます。
仰向けで読んでたせいかもしれませんが。
第3部「アブホーセン」は、主要キャラクターそろい踏みで、世界を破滅に導く邪悪な力と対決です!!
なんか書いてて赤面するほどの、お約束の展開ですが、とにかく読ませるのです。
主人公たちのお供をする、猫のモゲットと「不評の犬」も魅力的。
猫や犬は仮の姿、人語を解し魔法を操るその正体は「?」なのですが、人間たちより肝が据わっていて頼りになります。
横柄で気まぐれなモゲットと、慇懃な執事みたいな「不評の犬」、ともに漫才のツッコミみたい(つまり人間たちがボケってことですかな・・・)、
良く練られた会話が楽しく、スピード感あふれる読書を堪能できました。
しかしまだ回収し切れてない伏線がいくつか・・・ライラエルと彼は、将来ひょっとして・・・?
忘れがたいキャラクターがたくさん登場する「古王国記」、続編希望です!
(06.9.30.)
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