老子(小川環樹 訳)(中公クラシックス 2005年)
ちょっと、「タオ」に目覚めてしまいました。
いや「田尾」ではありません。 「道 (TAO)」です、「老子」です。
娘は表紙を見て、「『ロウコ』ってだーれ?」などと申しますが、
タオに目覚めた私は、「アホめ」と笑ったりしないのです。
「なるほど『ロウコ』とも読めるねえ、しかしこれは『ロウシ』と読むのだよ」
にっこり微笑んだりして、わあ、気もち悪う。
2500年も前に書かれた、わずか5千字ほどの書物が、現代人の心をこんなにも魅了するとは、
人間の本質は古くから変わっていないと言うことでしょうか。
「功遂げて身退くは、天の道なり (功遂身退 天之道)」(第9章)
<功を成し遂げたら引退する、それが天の道である>
そのとおりですなあ、私なんか、子供たちが一人前になり、老後の生活費の心配がなくなれば、
別に功遂げてませんが今すぐ身退きたいくらいです・・・・え、それって単にサボりたいだけか?
「希に言うは自然なり。故に飄風も朝を終えず、驟雨も日を終えず (希言自然 故飄風不終朝 驟雨不終日)」(第23章)
<希にしかしゃべらないのが自然である。暴風も朝まで吹き続けるわけではなく、驟雨も一日中続くわけではない>
そのとおりですなあ、私、基本的に接客業なもので、仕事中はよくしゃべります。疲れます。
やはりしゃべりすぎは体に悪いのですねえ、気をつけよう(老子はそういう意味で言っているのではないような気もするが・・・)
「戸を出でずして天下を知り、窓を窺わずして天道を見る (不出戸知天下 不窺窓見天道)」(第47章)
<戸口から出ることなく天下のことを知り、窓からのぞかなくても天の道を見ることができる>
これは明らかにインターネット時代を予見した句といえよう。
老子は2500年前の超能力者から現代に向けて発せられた大預言であったのだ!!
・・・と、五島勉なら言うだろうなあ。
「知る者は言わず、言う者は知らず (知者不言 言者不知)」(第56章)
<よく知る者は しゃべらない ものを知らない者ほど よくしゃべる>
この句に対しては、白楽天さんの見事なツッコミが知られています。
「そういう老子さん、5千字もの書物を残して、けっこうしゃべっとるやないですか!」
・・・白楽天さんに、座布団一枚。
こういうおちゃらけた読み方をしていては、タオは遠いのだろうか・・・
なお、桃白歩美さんの「えごいすとな思想」というサイトでは、「老子」の関西弁訳を読むことができます。
とても面白いです!!
(05.05.08.記)