恩田陸/酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記
(講談社 2005年)
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第133回直木賞にノミネートされている人気作家・恩田陸さん。
候補作「ユージニア」より、このエッセイのほうが面白かった私は悪い読者だろうか。
表紙は「地球の歩き方」のパロディですね。
恩田さんにとって〆切よりも怖いもの、それは「飛行機」。
なのに、イギリス&アイルランドに取材旅行に行く羽目になり、もう怖くてたまらない、というところから始まります。
いかに「あれ」(「飛行機」という言葉自体が怖い) が恐ろしいか、どうすれば恐怖を和らげられるかを、縷々延々と語るので、
200ページの本の中で、ロンドン行きの「あれ」に乗るのは45ページを過ぎてから。
だんだん私まで「あれ」が怖くなってきました。 もともと飛行機好きだったはずですが。
それにしても直木賞候補に対してエコノミー席というのはちとセコイですね講談社さん。
恩田さんはとにかく酒を飲みます。
「あれ」に対する恐怖を紛らわすために飲んでいるのかと思ったら、どうやらただの酒飲みのようです。
イギリスではビールが冷えていないと聞かされていたけれど、そんなことはなくて安心安心。
翌朝は、二日酔いでどんよりするものの、夜になるとまたパブへ繰り出します。
アイルランドへ移動する「あれ」の中でもたっぷり冷や汗をかき、着けば着いたでギネスで乾杯。
肝臓が4つあって反芻機能もあるのではないかと思うほどの飲みっぷりです。
ストーンヘンジとかソールズベリ大聖堂なども訪れるのですが、「あれ」と酒の話の前にすっかりかすんでいます。
いずれ、今回の取材旅行の成果を踏まえた新作小説が出版されるのでしょうか。
あ、それともこの旅行記がそうなのかな?
読むと酒が飲みたくなってくる、楽しいエッセイですが、最近肝臓が気になる方には要注意の一冊 (って自分のことだったり)。
(05.7.10.記)