恩田陸/光の帝国 〜常野物語〜 (集英社文庫)
恩田陸というひとは、今とても脂がのっている書き手だと思います。
昨年(2000年)にはたしか5〜6冊の新刊を出されていたような。
今まで読んだ恩田作品で一番印象に残っているのが、この「光の帝国〜常野物語〜」。
不思議な力を持つ「常野一族」をめぐる連作短編集です。
ありとあらゆるものを記憶する力を持つ家族、未来を見通す力を持つ娘、何百年もを生き続ける老人、
世界を侵食する見えない植物と戦う男・・・
彼らはその能力にもかかわらず(あるいは能力ゆえに)社会の片隅でひっそりと暮らしています。
彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?
何となく少女漫画のようなノリではありますし、
必ずしも完結しているとは言いがたい短編もあります。
超能力者がその能力ゆえに迫害されるという「お約束」的な展開もあるのですが、
とにかく「面白い物語を語ろう」という恩田さんの気迫が伝わってくるようなつくりで、
一気読みしてしまったものです。
現在、続編を執筆中とのことで、たいへん楽しみです。
(01.11.6.記)