J・S・バッハ/協奏曲集 ボックスセット(5枚組)(アルヒーフ)
トレヴァー・ピノック(指揮とチェンバロ)、イングリッシュ・コンサート
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Tower : Bach/Concertos
トレヴァー・ピノック率いるジ・イングリシュ・コンサートによるJ・S・バッハ/協奏曲集
20年来の愛聴盤です。
その昔、3000円以上するLPを一枚一枚買い集めました。
今ではCD5枚組のボックスセットになって5千数百円、一枚あたり1000円ちょっと。
内容は、CD1〜3が、チェンバロ協奏曲全集、
CD4はフルート、ヴァイオリン、チェンバロのための三重協奏曲と、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲、
オーボエ・ダモーレ協奏曲の名曲三連発。
CD5はヴァイオリン協奏曲・全3曲。
「ブランデンブルグ協奏曲」以外のバッハの協奏作品が、これで全部揃います。
ご存知でないかたは、バッハの協奏曲というと、威厳に満ちた重厚な音楽を想像されるかもしれませんが、もともと娯楽音楽、軽く楽しく聴けます。
そしてこの演奏は爽快で歯切れが良く、涼しげです。
まずはCD1の最初におさめられた、チェンバロ協奏曲ニ短調BWV1052。
大音響でかけながら、クルマで走ると気持ちが良いです。
バッハ聴きながら車で走るか〜、と思われるかもしれませんが、
「マタイ受難曲」を聴きながら走っていた人を私は知っています。
うっかり自分が成仏しないよう気をつけていただきたいものです。
とにかく爽やか、部屋で聴いていると気のせいか湿度が10%くらい下がった気になります(もちろん気のせいです)。
バッハのチェンバロ協奏曲のCDは、その後もいろいろ聴きましたが、
「爽やか」という点では、この演奏に勝るものはないっ! と、たいした根拠もなく断言させていただきます。
チェンバロ協奏曲ニ短調BWV1052・第1楽章 (小股の切れ上がったチェンバロのフレージングの妙!)
ゆっくりした楽章が全然ダレないのも、この演奏の特徴。
チェンバロ協奏曲へ短調BWV1056の第2楽章、3台のチェンバロのための協奏曲BWV1063の第2楽章など、
リスニングルームを一陣の涼風が通り過ぎるかのようです(おお、詩的な表現!)。
チェンバロ協奏曲へ短調BWV1056・第2楽章 (「バッハのアリオーソ」としても有名な、カンタータ第156番のシンフォニアと同じメロディの名曲)
3台のチェンバロのための協奏曲BWV1063・第2楽章 (ゆったりとくつろいでいるような雰囲気が大好きです)
一番好きな曲は、CD4に収められた「オーボエとヴァイオリンのための協奏曲」。
優雅にして典雅、最近の鋭角的な古楽器演奏とは違った、丸みのある表現がいいですねえ。
第1楽章 (いつくしむようなオーボエの音色が・・・たまらん)
個人的思い出話ですが、この盤、私はLPで買い(3200円)、一枚もののCDで買い(3500円)、
最後にこのセットで買いました。 ほかの盤も似たようなもの。
ピノックさんにはずいぶんみついだもんだ・・・。 でも後悔してないの。 あのころの彼は輝いていたわ、愛とは決して後悔しないことよ!
CD5のヴァイオリン協奏曲も、定評ある名演奏。
ヴァイオリン独奏はサイモン・スタンテイジ、端正にして中庸な表現です。
「これロックかよ!」みたいな古楽器演奏も刺激的で面白いですが、ピノックのほうが飽きが来ません。
ヴァイオリン協奏曲イ短調BWV1041・第1楽章 (スリムでスタイリッシュな名演!)
ピノックのバッハ/協奏曲は、いろいろな組み合わせで売られているようですが、
この5枚組ボックスセットが一番オトクでは。
美しく爽やかで優雅な音楽がテンコ盛りの、納涼にぴったりのセットと言えましょう。
(04.8.1.記)
P.S.その後、ブランデンブルク協奏曲と管弦楽組曲も加えた8枚組ボックス・セットも出ました。このほうがお買い得かも。(2015.03.21.)