バッハ/ブランデンブルク協奏曲(2枚組)
(バウムガルトナー指揮 ルツェルン弦楽合奏団 1978年録音)



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J・S・バッハブランデンブルク協奏曲(全6曲)。
名曲です、神品です、バッハ協奏作品の到達点にして最高峰です。
私もクラシックを聴きはじめたころから、かれこれ40年近く親しんでます。
「バロック時代を代表する名曲」として、普通に聴いてきたのですが、最近ふと思いました。

 これって実は、バロックの枠を大きくはみ出した奇妙奇天烈な協奏曲集ではなかろうか・・・?

まずは楽器編成がバラバラかつハチャメチャ
第1番の独奏楽器はホルン2本とオーボエ3本。
第2番はトランペット、フルート、オーボエ、ヴァイオリン。
第3番は独奏楽器なし!
第4番はヴァイオリンとリコーダー2本。
第5番はヴァイオリン、フルート、チェンバロ。
第6番は独奏楽器なし、しかもヴァイオリンを使わずヴィオラ・ダ・ブラッチョとヴィオラ・ダ・ガンバを使えときた。

第1番のホルンや第2番のトランペットはカンタータやオラトリオには使われても、協奏曲の独奏楽器としては異例中の異例。
じつにぶっとんだ楽器選択といえます。

 ブランデンブルク協奏曲 第1番・第1楽章
 

第5番はチェンバロを独奏楽器とした協奏曲の最初の例と言われており、
3楽章で20分を超える演奏時間や、第1楽章の長大なチェンバロ・カデンツァは、当時の常識からすれば狂気の沙汰に近いレベル。

 ブランデンブルク協奏曲 第5番
 



演奏時間も10分程度から20分以上かかる曲までまちまち。
これらをまとめて、一つの曲集ですといわれてもねえ・・・、

 「まとまってないやんか!」と突っ込みたくなりませんか。
 え? なんだか不思議なまとまりがあるようにも思える? 錯覚です錯覚。

こんな曲集、バロック時代のどこを探してもありませんから!
他の作曲家の協奏曲集はもっと整然としています。
もっとも、当時の作曲業界が似たような曲を大量生産する傾向にあった中で、バッハの破天荒な個性はチョー輝いています。
音楽的辺境・ドイツの片田舎から出ず、他の作曲家の影響をあまり受けなかったことがプラスに働いたんでしょうか。
田舎暮らしで刺激が少ないのも、いいことあるもんです。

この曲集は、バッハケーテンの宮廷に勤めていた時代(1717〜1723)、それまでに書いた曲から面白そうなのをみつくろい、
1721年に、ケーテン公の親戚だったブランデンブルク辺境伯に献呈したもの。
献呈されたものの6人編成の楽団しか持っていなかった辺境伯は、結局これらを演奏できなかったと思われます。
一種のいやがらせか、バッハ?
いえいえ、実は転職活動だったという説が有力です(実りませんでしたが)。

バッハがケーテンで書いた器楽曲の多くは、残念ながら失われてしまいました。
なので「ブランデンブルク協奏曲」が残ったのは、ホントにラッキーなことでした(じつは結構危なかったけど)。


さてこの曲のCD、10種類くらい持っていますが、最近お気に入りなのが、
ルドルフ・バウムガルトナー指揮/ルツェルン弦楽合奏団の1978年録音。
ヴァイオリンのヨゼフ・スーク、フルートのオーレル・ニコレ、チェンバロのクリスティアーヌ・ジャコテなどの名手を起用、
日本からはヴィオラ・ダ・ガンバの平尾雅子も参加してます。

現代楽器を使ってます。 古楽器ブーム以前の録音です。
おだやかなテンポとふくよかな響き、ロマンティックな解釈、刺激はないけど安心して聴けます。
指揮者の個性をあまり感じさせないのも計算のうちでしょうか。
アンサンブルは活き活き、各奏者が自発的に楽しんで演奏しているのが伝わってくるみたい。
とくにスークのヴァイオリンは張りのある艶やかな音でアンサンブル全体をひっぱってゆきます。
ジャコテのモダン・チェンバロによる華やかな響き、ニコレのモダン・フルートのくっきりした安定感。
流行を追わない、奇をてらったところのない、地に足のついた演奏。
古楽器演奏とは違った良さがあります。
ふむ、これは現代楽器による正統派ブランデンブルクの名録音として子々孫々に伝えていかねばなるまいて・・・(←何者?)。

 ブランデンブルク協奏曲 第4番 第1楽章より
 

(2015.01.30.)



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