1920年代のピアノ協奏曲集 Vol.1
(BMG BVCE 38070 、国内盤)
(ミヒャエル・リシェ、ピアノ)



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曲目
アンタイル:ピアノ協奏曲第1番(トラック1)
コープランド:ピアノ協奏曲(トラック2〜3)
オネゲル:ピアノ小協奏曲(トラック4)
ラヴェル:ピアノ協奏曲(トラック5〜7)


国内盤新譜ですが1000円、解説もついてます。
内容は充実、とくに「知られざる曲」好きには蜜の味です。

1920年代に書かれたピアノ協奏曲のキーワードは、「ジャズ」
ニューオーリンズの黒人の間で生まれたジャズが、世界へ広がり始めたこの時期、
目ざとい作曲家たちは、われもわれもとジャズを取り入れた作品を書きました。
もっともジャズといっても20年代ですから、せいぜいラグタイムに毛が生えた程度のもの、
このCDを聴いて「クールじゃない」とか「エッジが効いてないぞ」とか言ってはいけません。

ジョージ・アンタイル(1900〜1959)は、「音楽界の悪ガキ」を自認していたアメリカの作曲家。
代表作「バレエ・メカニック(1936)」は、殺傷能力がありそうなほど強烈で暴力的な音響が楽しめる大傑作ですが、
この「ピアノ協奏曲」(1922)は、若書きということもあってずいぶんおとなしい。
ストラヴィンスキー「春の祭典」のあからさまな引用など、微笑ましいです。
これと言った形式はなく、いろんなエピソードが現れては消えてゆきますが、
それらはジャズっぽかったり無調だったりセンチメンタルだったり、万華鏡のよう。
深みはないけど才気あふれる作品。21世紀の今のほうが受けそうです。

アーロン・コープランド(1900〜1990)は、20世紀アメリカを代表する作曲家。
この「ピアノ協奏曲」は26歳の作品、素朴で荒削りです。
同じ頃に書かれたガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」と比べても垢抜けませんねえ。
でも第2楽章後半のピアノの跳ねっぷりは、なかなか楽しめます。

続くアルテュール・オネゲル(1892〜1955)の「ピアノ小協奏曲」。
「カ・モ・メ〜の水兵さん」を思わせるすっとぼけた冒頭主題に腰が抜けます。
オネゲルは基本的に、生真面目なペシミストだったと言われています。
するとこれはやっぱし、精一杯の「ユーモア」のつもりなのか・・・。
オヤジギャグで場を凍らせるおじさんを連想して、思わず瞼の裏が熱くなります。
(もちろん自分のことは棚の一番上の段にあげてます)
フィナーレが控えめにブルースしてます。

最後のラヴェル「ピアノ協奏曲」は、押しも押されもせぬ傑作。
個人的には「左手のためのピアノ協奏曲」のほうが好きですが、この曲もいいです。
ジャズの要素を味付けとしてうまく使った、きらびやかな音のパレード、やっぱり格が違います。

独奏のミヒャエル・リシェは、軽やかな演奏で楽しく聴かせてくれます。
このCD、Vol.Uも出ています。
(04.1.6.記)



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