ミチオ・カク/パラレルワールド
11次元の宇宙から超空間へ
(斎藤隆央・訳 NHK出版 2006年)
Amazon.co.jp : パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ
ガラッ八:親分こんにちは〜。 お、今日は本を読んでるでやんす。
親分:うむ、「パラレルワールド」って本だが、なかなか面白いぞ。
八:「パラレルワールド」、よく似た別の世界ってことですね。
そこでは例えば、あっしのほうが親分で、親分はドレイだったりするんですよね。
親:なんでドレイなんだよ!
八:ま、それはそれとして。 ところでその本、SF小説でやんすか?
親:いや、科学ノンフィクションだ。
少し前にサイモン・シンの「ビッグバン宇宙論」(宇宙創成)という本を読んだ。
あれはビッグバン理論が定説となるまでを、わかりやすく描いた良い本だったなあ。
で、この本はいま現在、宇宙論や量子力学がどこまで来ているのかを、数式を一切使わずに説明した一冊。
八:数式を使わずに・・・ってことは、わかりやすいんでやんすね。
親:かなりわかりやすいと思うな。 著者のミチオ・カク(日系アメリカ人かな?)、サイモン・シンに負けない、見事な語り口。
と言っても、正直ムツカシイ部分もあるが、本来そういう分野だから仕方が無い。
「量子力学がわかるという人ほど、じつは全くわかっていない」(byファインマン)そうだからな。
八:ほとんど禅問答ですね。
親:それでも「ひも理論」に関しては、いままで読んだ中では一番わかりやすかったな。
八:ええっ、だめですよ親分、自分は働かずに女の人に食べさせてもらおうなんて。
そもそも親分のご面相では、女の人が寄ってきやしません。
親:そのヒモじゃないって!
原子をさらに細かく調べて、物質の根源を探っていくと、素粒子ってものになる。
ところが現在、素粒子は何百種類も発見されていてメチャクチャややこしいんだな。
そこで、素粒子はそもそも短い一本のひもで、その振動数の違いで、いろんな粒子があるように見えるという考え方が「ひも理論」だ。
ひもは1本の線のような開いたひも、輪ゴムのような閉じたひも、どちらもありだ。
八:ほおお、つまり、物質の根源は「ひも」ってわけなんですね。
親:わかってるじゃねえか。 ひも理論を完成させれば、 宇宙の全てをひとつの物理法則で説明する「大統一理論」になるんじゃないかと言われているんだ。
八:で、「パラレルワールド」は、どこに出てくるんで?
親:なんでもアインシュタインの一般相対性理論を突き詰めていくと、並行宇宙が存在することが理論的に導かれるんだそうだ。
また「ひも理論」も、並行宇宙の存在を示しているそうで、このあたりは難しくてよくわからなかったが、とにかくそういうことなんだな。
八:するってえと、いまや学者様がマジメな顔でパラレルワールドがどこにあるか議論してるってわけですかい?
親:それどころか、テレポーテーションやタイムトラベルも真剣に研究されている。
2004年には、アメリカの研究機関で原子1個をテレポートすることに成功、今世紀中にはウィルスのテレポーテーションができるようになるそうだ。
八:ウ、ウイルスですか〜。
親:ところでビッグバンで始まったこの宇宙だが、将来的には全ての物質が広く薄く拡散、「ビッグフリーズ」という状態になって滅びる可能性があるそうだ。
この本の最終章は、その場合、パラレルワールドに移住して生き延びる方法について書いてある。
並みのSF小説よりずっとぶっ飛んでいるぞ。
八:あ、そりゃ読まなきゃいけませんね〜。そういうこともあろうかと、日ごろから非常袋は準備してあるんですよ。
親:ビッグフリーズは、10の100乗年ほど先らしいがな。
八:10の100乗って・・・わりかし先のことなんですね。
親:何千兆年も先だよ! それより自分の明日を心配したらどうだい。
こんなところで油売ってたら、おまんまの食い上げだぞ。
八:わあっ、いけねえ、仕事におくれちまうっ!
親分、あっしをテレポーテーションさせてくださいっ!
親:できるかっ!
(07.7.29.)