西加奈子/漁港の肉子ちゃん
(幻冬舎 2011年)
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ちょっと前に「円卓」という作品を読んで、
「えらいオモロイな」
と思った西加奈子さん、
新作「漁港の肉子ちゃん」は、さらにパワーアップした大傑作でした。
本名は「菊子」だけど、肉のかたまりみたいなので「肉子」。
ちなみに151センチ、67.4キロ。
38歳の肉子ちゃんの人生には、いろいろなことがあって、
いまはとある漁港の焼肉屋で住み込みで働き、11歳になる娘と一緒に暮らしています。
娘は対照的にスリムな美少女。
とにかく肉子ちゃんのキャラクターが重くて濃い。
頭の回転は悪いけれど、暴力的なまでの天真爛漫さと、破壊的なまでの人の良さで、
気がつけば周囲から好かれ頼られ親しまれ。
人見知りが服を着て歩いてる私のような人間から見ればほとんど宇宙人です。
「イワンの馬鹿」「バカボンのパパ」にも匹敵する、素晴らしき「聖なる愚者」。
そんな肉子ちゃんと、妙に大人びた美少女娘と、漁港の人々が織りなす日常ドラマ。
「じゃりん子チエ」みたいなノリに笑って笑って最後にホロリ。
ラスト40ページは何度も読み返しました。
何度読んでも良いものは良い!
ええもん読ませてもらいましたー。
肉子ちゃんほどのたくましさと人間力があれば、地球のどこでも生きてゆけそうです。
そのうち続編として「南極の肉子ちゃん」「サバンナの肉子ちゃん」が・・・・・・出るわけないやろっ!!
あとがきで、モデルとなった漁港が宮城県石巻であることを知り、しばし粛然といたしました。
表紙のイラストも、著者・西加奈子さんが描かれたそうです。
(2012.2.5.)