ナルディーニ/ふたつのヴァイオリンのための作品全集(3枚組)
(Igor Ruhadze, Daria Gorban:バロック・ヴァイオリン)



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ピエトロ・ナルディーニ(1722〜93)は、フィレンツェのトスカーナ大公に仕え、その地で没したイタリアのヴァイオリニスト・作曲家。
1770年にはフィレンツェを訪れたモーツァルト父子と共演、レオポルド・モーツァルトはナルディーニのヴァイオリン演奏を賞賛したそうです。

以前この人の弦楽四重奏曲を聴きましたが、軽やかで優美な超趣味の良いお洒落な音楽で、
モーツァルトのディヴェルティメントK.136の元ネタじゃないかと思いました。
また史上初の常設の弦楽四重奏団を結成したことでも知られているそうです。
なんとチェロ奏者はあのボッケリーニでした。

ハイドンとほぼ同時代を生きたすぐれた音楽家でありながら、今や忘れ去られている不憫な巨匠(たくさんいるんでしょうね、そういう人)。
そんなナルディーニの二つのヴァイオリンのための作品を集めた豪華3枚組ですっ!
ただただ気持ちよい音楽がたっぷり詰め込まれています。

 二つのヴァイオリンのためのソナタ第2番 ハ長調 第2楽章 アレグロ
 (ひたすら快適、キラキラしてます)

時代的には初期古典派に位置し、シンプルながらきちんとしたソナタ形式で書かれていますが、
そういうコムツカシイことは考えずアタマ空っぽにしてボーッと聴くのが、おそらくは正しい鑑賞態度。
ほんらい娯楽音楽というか、トスカーナ大公が晩餐会などで客人をもてなすときのBGMとして作られました。
伸びやかで均整の取れた音楽は初期モーツァルトそっくりですが、ナルディーニのほうが30歳以上年上です。

 二つのヴァイオリンと通奏低音のためのメヌエット 第9番 ニ長調
 

二つのヴァイオリンと通奏低音のための作品がたくさん収められていますが、
通奏低音を伴わない二つのヴァイオリンのための二重奏曲も何曲かあり、透き通ったみずみずしさ、柔軟な息遣いに陶然とさせられます。
なんなんこの艶麗優美さ。
たとえて言えば色かたちの整った上質の絹豆腐のような味わいとでも申しましょうか・・・。

 二つのヴァイオリンのための二重奏曲 第2番 変ホ長調 第1楽章アンダンテ
 

3枚組なのでけっこうなボリュームですが、どこから聴いても良し、どこで止めても良し、休日のリビングに抑えめの音量で流しておくと気分(だけ)はイタリア貴族。
なお短調の曲はほとんどありません。
貴族の娯楽音楽ですから、深刻で重たいものはご法度なのでしょう。

(2023.10.22.)


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