モーツァルト/交響曲第29番&35番
フリーメイソンのための葬送音楽
(カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル 1979〜80録音)




Amazon.co.jp : モーツァルト:交響曲第29番・第35番

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Tower@jp : モーツァルト:交響曲 第29番 第35番《ハフナー》

カール・ベーム(1894〜1981)。
生前はカラヤン、バーンスタインと並ぶ人気指揮者でしたが、亡くなってからは忘れ去られがち。
まあ、華やかさとは対極の、いわゆる「いぶし銀」とか「職人肌」とか評される人でしたから。
ところで「いぶし銀」ってどんな色なんでしょう。

そんな地味なベーム氏ですが、晩年(1980)に録音したモーツァルトの交響曲第29番、これはすごいです。
なにがすごいって、

・・・とにかく遅い・・・



第1楽章アレグロ・モデラートは、まるでアレグレット。
しかし、音楽は少しもダレません。 中身ぎっしり詰まってる感じです。 
そしてウィーン・フィルの流麗な音色。 有無を言わせぬ絶対的な美しさ。
最初は「なんじゃこりゃ」と思っても、聴いているうちに
「いいじゃん、これ」「ひょっとして名演奏?」「ベーム最高!」 となってしまいます。
まさに異形の29番。 おそるべしベーム。

 

 普通だとこのくらいのテンポ
 

カップリングの第35番「ハフナー」もかなり遅め。
しかしこの遅さが、隅々まで神経の行き届いた演奏を可能にしているのでしょう。
溌剌さや若さは無いですが、それを補ってあまりある優雅さと繊細さ、そして暖かさ。

最近、モーツァルトに限らずやたらと速い演奏が増えてます。
かく言う私、こないだインマゼール指揮/アニマ・エテルナの三大交響曲
「速い」だの「うまい」だの褒めちぎった舌の根もほとんど乾いておりませんが、いやあ、やっぱり速さじゃないのよ音楽は。
こういう、悠然&堂々とした演奏、最近なかなか聴けないです。
貴重なCDです。

最後におさめられている「フリーメイソンのための葬送音楽 K.477」、これがまた良いのです。
85歳の指揮者が葬送音楽を振るとは、悪い冗談みたいですが、
一音たりともゆるがせにしない、しっかりとした音楽に、思わず背筋が伸びるのであります。

(06.6.1.)

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