アレグリ/ミゼレーレ
(タリス・スコラーズ 1980録音)



Tower : Allegri/Miserere


2022年3月

いったい人類はどこで間違えてしまったのでしょう・・・
と日本の片田舎で私のようなオッサンが思い悩んでも仕方がないのですが、
でも考えずにはいられません(些少ながら寄付はしました)。

キリスト教徒ではありませんが、グレゴリオ・アレグリ(1582〜1652)ミゼレーレの透明なハーモニーが心に沁みます。
グレゴリオ聖歌とポリフォニー合唱の交代で進んでゆく12分間の響きの宝石。

 主よ 私を憐れんでください
 御慈しみを持って 深い憐れみを持って
 背きの罪をぬぐってください
 私の咎をことごとく荒い 
 罪から清めてください

 あなたに背いたことを私は知っています
 私の罪は常に私の前に置かれています
 あなたに あなたにのみ私は罪を犯し
 御目に悪事と見られることをしました
 あなたの言われることは正しく
 あなたの裁きに誤りはありません

 

アレグリのミゼレーレはモーツァルトの逸話でも有名です。
この曲はシスティーナ礼拝堂の秘曲であり、楽譜は公開されておらず、特別な礼拝でしか歌われない曲でした。
ところがローマを訪れた14歳のモーツァルトは1度聞いてほぼ全てを暗記、楽譜に書きおろしたのです。
念のため別の日にもう一度出向いて、数カ所のミスを訂正しました。
父レオポルドの誇らしげな書簡が残っています。

 1770年4月14日、ローマ
 おまえはたぶんローマの有名な『ミセレーレ』のことを聞いたことがあるだろう。
 この曲はたいへん尊重されているので、礼拝堂の歌手たちには、パート譜を一枚でも持ち出したり写譜したり、あるいは誰かにやったりすることは、破門をもって禁じられている。
 ところが、私たちはもうそれを手に入れてしまっているのだ。
 ヴォルフガングはそれをすっかり書き取ってしまったので、もしこの曲の演奏に私たちが立ち会う必要がなければ、この手紙に同封してザルツブルクに送ってしまうことだろう。
 でも演奏の仕方が作品自体よりも重要なので、私たちは帰るときにこの曲を持って行くことにします。
 それにこれはローマの秘曲なので、直接間接に教会の検閲に触れないために、他人の手には渡したくないのだ。

・・・おいおい、下手したら破門だぜ、レオポルドさん。

モーツァルトが書いた楽譜は後に教皇庁専属の歌手によって正しいことが証明され、彼の天才少年ぶりが改めて話題となりました。
そして彼は破門になるどころか時の教皇クレメンテ14世から「黄金拍車勲章」という勲章を授与されるのです。

タリス・スコラーズの1980年録音は、この名曲の決定盤ともいえる名演奏。
これより美しい音楽が存在しうるだろうかと問いたくなるほどの圧倒的な純度です。



ウクライナ情勢から毎日目が離せません。
ニュース映像を見ていて連想するのがBAND-MAID"The Dragon Cries"
2020年2月にこのMVが発表されたときは、重くて暗い映像にちょっと引いてしまったのですが、
哀しいことに現実がBAND-MAIDに追いついてきた今日この頃。

もちろん単純に音楽としても超素晴らしいです(ギターとベースとドラムスのインタープレイ!)
なおプロデュースはあのトニー・ヴィスコンティです。

 

(2022.03.12.)

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