ショパン/マズルカ集(51曲)ほか
(サンソン・フランソワ 1956年)



Amazon.co.jp : Sonata No.2, 3, 51Mazurkas - S. Francois



本の収納、もっと考えないといけないなあ。

青柳いづみこ「ピアニストが見たピアニスト」という本を読み返したくなったものの、なかなか見つからず、
本棚・納戸・ベッドの下・ソファの下・トイレ(?)など捜索すること数十分、やっと発見したときには、疲れて読む気が失せてました。
一説によると人間は年間150時間以上を探し物に費やしているそうです。
私はひょっとすると200時間以上かな。
まあ本を探してると、昔読んで面白かった別の本が目につき、ついつい読みふけって時間が・・・なんてこともあり楽しいのですが(←だめだこりゃ)。

なぜこの本を読みたくなったのかというと、サンソン・フランソワ(1924〜1970)が弾くショパンのマズルカ集を聴いたから。

ショパンは情緒連綿・装飾過多・繊細柔弱・湿気充満なイメージで、やや苦手としているのですが、例外的に好きなのがマズルカ
三拍子のポーランド舞曲で、短く(1〜2分)、超絶技巧も激しさもなく、軽くてさらっとしています。
しかも、なぜか聴き飽きません。
全生涯にわたって60曲ほども作られた、いわばショパンのライフワーク。
メロディはシンプルかつ優雅、装飾や技巧に凝っていないぶん、故郷ポーランドへの思いがストレートに反映しているような。

サンソン・フランソワは酒とタバコに溺れて46歳で亡くなってしまった破滅型の天才にして直観型の鬼才。
演奏の出来不出来も激しかったそうですが、良い時の演奏は音楽の神が乗り移ったかと思うほどだったそう。

この録音も、柔軟で自在でスタイリッシュ、素晴らしく粋です。
「フランソワは、どんなパッセージも二度と同じように弾かない」(青柳いづみこ)と言われる通り、
ショパン作品としては単純な譜面から、変幻自在・融通無碍に多彩な色を引きだします。
喜びのリズム、せつない哀愁、軽快な速弾き、とろけるようなピアニシモ。
1曲ごとに音の小宇宙が広がる、宝石のような演奏です。

 

波乱に満ちたフランソワの生涯については、上で触れた青柳いづみこ「ピアニストが見たピアニスト」に、コンパクトにまとめられています。
読みながら聴くと、感慨もまたひとしお。

(2015.2.7.)

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