バッハ/ピアノ独奏作品集(15枚組)
(アンジェラ・ヒューイット)



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Tower@jp : Angela Hewitt Plays Bach


以前ネットで見つけた小話。

 メキシコの田舎町。海岸に小さなボートが到着、メキシコ人の漁師が小さな網に活きのいい魚を数匹獲ってきた。
 それを見たアメリカ人旅行者、
 「素晴らしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの?」
 漁師「1時間くらいかな」
 旅行者が「君は腕が良いね。もっと長時間漁をすれば、もっとたくさん獲れるだろうに」と言うと、
 漁師は「自分と家族が食べるにはこれで充分だよ」
 「それで残りの時間は何をするの?」と問うと、
 「昼ごろまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ったら子供と遊んで、女房とシエスタして。
  夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌を歌って、それで一日終わりだね」

 すると旅行者は真剣な顔で漁師に向かってこう言った。
 「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として君にアドバイスしよう。
  君はもっと長い時間、漁をするべきだ。 そして余った魚は市場で売る。
  お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は増え、儲けも増える。
  その儲けで漁船をニ隻、三隻と増やしていくんだ。
  そうしたら市場に魚をおろすのはやめだ。自前の水産加工工場を建てて、そこに魚を入れる。
  やがて君はこのちっぽけな村から、メキシコシティに出て、ロサンゼルス、ニューヨークへと進出するだろう。
  そしてマンハッタンのオフィスから企業を指揮するんだ」
 「それからどうなるの」
 「それから? それからは本当にすごいことになるよ」
 旅行者はにんまりと笑った。「株を売却して、億万長者になるのさ」
 「それで?」
 「そしたら引退して、海辺の小さな村に住んで、昼ごろまでゆっくり寝て、
  日中は釣りをして、子供と遊んで、奥さんとシエスタをする。
  夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌を歌って過ごすんだ。
  どうだい、素晴らしいだろう」

 ・・・漁師がなんと答えたかは、読者のご想像にお任せ。


なぜこの小話を思い出したかといいますと、
11月20日(土)、21日(日)、そして23日(火)は飛び石連休になっています。
そこで思いきって22日(月)に有休をとりました!

 4連休!

こんなことしたのは初めてですが、
「4連休だ〜」と思うだけで、心がスーッと軽くなって頬がゆるみます。
どこかへ旅行でもと思って家族を誘ったのですが、子供の学校やら部活やらやらがあり却下
一人で出かけるのもおっくうなので、家でのんびりすることにしました。

昼ごろまでゆっくり寝て(寝れるかな)、日中はプールでひと泳ぎ。
子供・・・は遊んでくれないので、 妻もシエスタ・・・には付き合ってくれないので、
先日買った、アンジェラ・ヒューイットのバッハ/ピアノ独奏作品集(15枚組!)でも聴きとおしてみるかー
と思ってます。 アンジェラ・アキじゃないですよ。

アンジェラ・ヒューイットのバッハは、温かくて柔らかいバッハ。
小料理屋の美人女将がつけてくれる、人肌の御燗のようなバッハ。
バッハが愛想よく微笑んでいます。

「平均律クラヴィーア曲集」も、ヒューイットの手にかかると、こんなにも人懐こい
速い曲は立体感を際立たせながら小気味よく走り抜け、
ゆっくりした曲は荘厳さと慈愛に満ちて歌います。
聴くものを幸せにしてくれるバッハとでも申しましょうか。
テンポも強弱もかなり自由ですが、バッハの様式感と品格はしっかり保たれています。

「平均律」でのファツィオーリのピアノの深い音も魅力的・・・って、実は全然違いわかりませ〜ん。

ニーチェアに座って、濃く淹れた煎茶を飲みながら聴いています。
1枚目から順番に聴いて、いま8枚目。

さてさて、この4連休、メキシコ人の漁師に負けない、豊かな時間の使い方ができるだろーか・・・。

 フランス組曲 第2番より
 

 平均律クラヴィーア曲集第2巻・第15番
 

(10.11.21.)

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