宮田ナノ/ハラヘリ読書
(KADOKAWA 2022)



Amazon : ハラヘリ読書


ちょうどお腹が減っているときに近所の紀伊國屋書店で見かけてふらふらと買ってしまった一冊。

 宮田ナノ/ハラヘリ読書

 面白かった! 大当たりでした!

文学の中の「食」を取り上げたエッセイはたくさんありますが、意外にもコミックエッセイははじめて読むような気が。
著者はイラストレーターですが「趣味は読書」という人。
ただし気に入った本を「何度も繰り返し読む」派で、「年間300冊読みます」みたいな人とは話が合わないそう。
私はどちらかというと乱読派です・・・なんかすみません(なぜかあやまる)。

森茉莉、内田百閨A村上春樹など「文学グルメ界」ではお馴染みの面々が登場し、著者と食談義を繰り広げます。
若い方のわりに本のチョイスは渋めですな・・・(だがそこがいい!)。

絵はシンプルでポップでお洒落で可愛らしく、気持ちよく読めます。
コミックならではというか、ビジュアルの力をひしひしと感じます。

文字の字体もセンス良く凝ってて、森茉莉の貴族的で贅沢な優美さが一発で伝わります。
活字だけの本にはこれはできません。

 

しかしエヴァ・ミルクグラニュウ糖を入れてなめるのは個人的には遠慮したいです・・・。

森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」の「黒髪の乙女」との対談(?)も超楽しい。
乙女さんは日本文学史上屈指の大酒豪ですからねー。

 
 

石井好子のエッセイ「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」は、タイトルだけ知ってたんですが、俄然読みたくなりました。
豪快きわまりない「お料理失敗談」に大爆笑です。

 
 

国も時代も超えたさまざまな文学作品が、「食」という一本の糸でつながり、しかもたっぷり笑えます。
笑えると言っても、取り上げる作品・著者への愛と敬意はしっかりこもっています。

「読書系食べ物エッセイ」界に大新星・大傑作が登場しました!
続編超希望です!

(2022.09.19.)

「更新履歴」へ

「本の感想小屋」へ

「整理戸棚(索引)」へ

HOMEへ