メアリー・アン・シェイファー&アニー・バロウズ/ガーンジー島の読書会
(木村博江・訳 イースト・プレス 2013年)

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<ストーリー>
1946年、戦争の爪あとも生々しいロンドンに住む駆け出し作家ジュリエット
一冊の本をきっかけに、ガーンジー島の人々と手紙を交わしはじめた
ガーンジー島は大戦中ナチス・ドイツの占領下にあり、人々は圧政を耐え忍んだ。
島民たちの心をつなぎ、温かい交流を産んだのはある”読書会”、そして一人の凛々しい女性の存在だった。
戦中の悲惨な生活を乗り越えた人間のたくましさが、島民とジュリエットの往復書簡で綴られてゆく。


新年早々素敵な本を読みました。

しかし「ガーンジー島」って言うからてっきりインドかと思ったら(←それは「ガンジー」)、
フランス北西部の沖合に浮かぶ、イギリス領の島なんだそうです。
映画で有名なシェルブールのすぐ近く。

武蔵と小次郎が決闘した島とも違うんですね(←それは「巌流島」)。



書簡体なので読みやすく、翻訳小説が苦手な私でも苦労しませんでした。
書簡体で本にまつわる話といえば、「チャリング・クロス街84番地」が有名ですが、
あれがドキュメンタリーであるのに対し、本作はあくまでもフィクションです。

しかし読み応えはたっぷり。
フィクションだけに、真正面から人間の強さと弱さ、生きることの素晴らしさを描いてくれます。
多少気恥ずかしいストーリーですが、ページをめくる手が止まりません。
疲れ気味の私の心に、この本は優しい雨のように染み込んできました。
生きる希望が湧いてくる、素敵な小説でした。

うむ、がんばろう!

(2014.1.20.)



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