ポール・ホフマン/悪魔の右手
(金原瑞人 井上里・訳 講談社 2012年)
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<ストーリー>
まさかの敗戦により宿敵メシア・ボスコの手に落ちたトマス・ケイル。
ところがボスコはケイルに一軍を与え、アンタゴニストとの戦いに送り出す。
そこで天才的な軍才を発揮、憑かれたように殺戮を繰り返すケイル。
ケイルの勝利によりついに法王となったメシア・ボスコの真の目的とは・・・?
数か月前から、胸の真ん中に赤黒いアザがあります。
タテ2cm、ヨコ5cmほどのアザで、痛くもかゆくもありません。
オッサンの胸にアザがあっても色っぽくもなんともありませんが、
原因に心当たりがなく、不思議に思っておりました。
「皮膚の病気かな〜? でも痒みはないしなあ」
「ひ、ひょっとして、なにか全身性の悪い病気では・・・?」
と、恐れおののいていたところ、先日ひょんなことから原因判明。
チェロの練習中に気づきました。
「胸のアザのところに、楽器の角が当たっている!」
ヴァイオリニストの首のつけねにアザができることはよく知られていますが、
チェロを弾きつづけていると胸にアザができるので・・・・・しょうか? 初耳だぞ。
1日平均30分ほどしか練習してないんですけどねえ(自慢にならん)。
楽器の構え方が、よっぽど妙なのかな?
今度チェロの先生に訊いてみましょう(笑われそうな予感)。
さて、「神の左手」に続く、ポール・ホフマンの「悪魔の右手」。
ダークで暗くて(同じじゃ)、ヘヴィで重くて(だから同じじゃ)、気が滅入りそうになる・・・と思いきや超面白い戦闘ファンタジー。
捕虜となりサンクチュアリに送還されたトマス・ケイル。
てっきり処刑されるのかと思ったら、メシア・ボスコによりメシア軍を率いる司令官に任命されます。
ケイルは水を得た魚のごとく、敵を殺して殺して殺しまくります。
メシア・ボスコの真の目的も最後のほうで明らかになり、
「なに考えてるんだ、こいつ・・・」
と絶句せずにはいられません。
ひたすら暗く、暴力的で、破壊的で、残酷で、汚濁に満ち、しかも卑劣。
もうどうしようもない物語なのですが、なぜかページを繰る手が止まりません。
そして読み終えたいま、第3部・完結篇を心待ちにしている自分がここに。
なんとも不思議なパワーを持ったダーク・エンタテインメントであります。
(2012.8.28.)