あらゆる楽器の中で、もっともレパートリーに恵まれているのは、やはりピアノでしょう。
交響曲なども勘定に入れるならば、ヴァイオリン族もレパートリー膨大ですが、そんなもん一人で弾いても面白くもなんともないでしょうからねー。
独奏曲となると、もう完全にピアノのひとり勝ちであります。
およそ弾く曲には不自由しないと思われるのですが、なぜか、他の楽器のための曲を、わざわざピアノに編曲して弾いちゃうピアニストは後を絶ちません。
なんとも欲張りさんな人たちですねえ。
さて、これはヴィヴァルディの名曲「四季」を、ピアノ独奏で演奏したCD。
ピアノ独奏用の楽譜、というのはすでに何種類か出版されているそうなのですが、今回は演奏者のジェフリー・ビーゲルが独自に手を加えたものを使用しています。
「春」の冒頭から、意外なまでにピアニスティックな優雅さに耳を奪われます。
「夏」の第三楽章では、思い切り超絶技巧を披露して、とても気持ちよさそう。
意外にしっくりくるのが「秋」の第二楽章。
まるで印象派の小品のように響いて新鮮です。
もちろん、本来は弦楽のための曲なので、「冬」第一楽章の急速な和音連打などは聴いていて気の毒になりますが、
まあ好きでやってるんだから仕方ないですよね。
余白には、有名なマンドリン協奏曲RV.425と、リュート協奏曲RV.93 が、やはりピアノ独奏で収録されています。
これは編曲者が別であるためか、雰囲気が違ってやや重厚な響き。
バッハのクラヴィーア曲をピアノで弾いてるような感じです。
原曲の可憐さを期待すると、ちょっと違和感あるかもしれません。
(10.4.12.)
ヴィヴァルディ:四季より「夏」第三楽章(ピアノ編曲版)(このCDの演奏ではありません)
余談:ギターで弾いてる人もいます(めちゃくちゃ上手い)