フィッシャー/音楽のパルナス山(第1&2集)
リュック・ボーセジュール(ハープシコード)
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ヨハン・カスパル・フェルディナント・フィッシャー(1670〜1746)といっても、ご存知のかたは少ないと思います。
ボヘミア生まれ、ドイツで活躍した音楽家で、バーデン辺境伯の宮廷楽長をつとめた人物とのこと。
バッハのちょっと先輩にあたる世代ですが、みごとに忘れ去られてます。
「音楽のパルナス山」は、ハープシコードのための組曲集で、9つの組曲からなります。
それぞれミューズの女神の名前(クレイオー、カリオペなど)がついていて、なかなかしゃれてます。
内容はフランス風組曲、つまりアルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグなどの舞曲をならべたもので、とにかく肩のこらない音楽です。
どうしてもバッハの「フランス組曲」と比較してしまいますが、バッハに比べると良くも悪くも「単純で軽い」印象、でも、しゃれっ気はこっちのほうがあります。
(フィッシャーの後でバッハを聴くと、なんとなく説教くさい気がしないでもない)
組曲第1番「クレイオー」から前奏曲 (晴れやかなプレリュード)
この「音楽のパルナス山」、かるーく聴けて、おしゃれなチェンバロ作品として、なかなかいい線行っております。
「深み」は無いかもしれませんが、あちこちで「才気」を感じさせてくれますし、1分半程度の短いトラックが多く、たいへん聴きやすくなっております。
いま風に言って、「キャッチー」な曲が多いですね。忘れ去られるのは惜しい作品です。
私のフェイヴァリット・トラックは、第6組曲「エウテルペ」の終曲「シャコンヌ」、第9組曲「ウラニア」の「リゴードン」などです。
組曲第6番「エウテルペ」からシャコンヌ
組曲第9番「ウラニア」からリゴードン
組曲第9番「ウラニア」からメヌエット (可憐なメヌエット)
フィッシャーはバッハ以前に「平均律」の着想を得ていて、「アリアドネ・ムジカ」という、20の違った調による前奏曲とフーガ集を書いているそうです。
「平均律クラヴィーア曲集」を書くにあたって、バッハもこれを参考にしたといわれているくらいですから、
決してただものではなかったんですね。
(02.3.31.記)