エリオドロ・ソッリマ/室内楽作品集
(アンサンブル・きなり ジョヴァンニ・ソッリマ 2020録音)
Amazon : Eliodoro Sollima/Chamber Music
Tower : Elidoro Sollima/Chamber Music
エリオドロ・ソッリマ/室内楽作品集
作曲家・チェリストのジョヴァンニ・ソッリマ(1962〜)のお父さんも作曲家だったことは、このCDを聴くまで知りませんでした。
エリオドロ・ソッリマ(1926〜2000)はシチリア島の生まれで、パレルモ音楽院の作曲科教授をつとめ、息子ジョヴァンニも彼の生徒でした。
ピアノとヴァイオリンのための"Evoluziona No.5" (1976)
(波乱万丈なドラマを想像させるサスペンスフルな曲)
息子ジョヴァンニの曲はミニマル・ミュージック風だったり、ノリがロックだったり、映画音楽のようなメロディを随所で聴かせたりして、
それほど「ゲンダイオンガク」ぽくない気がしますが、父エリオドロの曲はきちんと正しい「現代音楽」という印象。
さすが音大の先生ですな。
手法は手堅く、難解なところは少なく、多彩な展開で退屈させないのはさすが。
ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための3つの楽章 より第1楽章(1968)
(リズミックで躍動感たっぷり、名曲です!)
エリオドロ・ソッリマの音楽、どれほど聴かれているのかわかりませんが、アマゾンで検索した限りでは2021年現在これが唯一のCDのよう。
いや〜、忘れ去るには惜しい作曲家でしょ、この人。
アカデミックで手堅い反面、強烈な個性に乏しい感は否めませんが・・・。
やはり後世に名を残すためには、良くも悪くも破天荒というか「なんじゃこりゃあ!」と言わせる要素が必要なのか。
ピアノ四重奏曲第3番「聖ダミアノスの伝説」(1995)
(静かに昔話を物語るようなロマンティックな曲)
演奏は日本人女性二人をメンバーに含むピアノ四重奏団「アンサンブル・きなり」、「きなり」は日本語の「生成り」に由来、「手を加えないそのままの状態」を意味します。
初めて聴く曲ばかりだからか、楽器同士のヴィヴィッドな絡み合いが新鮮でスリリング。
ピアノにかぶさる弦の響きのなまめかしさ、急速な部分での丁々発止、どの瞬間も目新しく新鮮です。
最後の曲「ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、2台のチェロのためのアリア」のみ、息子のジョヴァンニ・ソッリマが参加しています。
ボーナス・トラック的な感じですね。
ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、2台のチェロのためのアリア(1945)
(初期の作品、クラシカルで美しい曲です)
(2021.09.04.)
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