モーツァルト/ディヴェルティメント K.334 & K.113
ウィーン室内合奏団 (DENON COCO-70441)




Amazon.co.jp : モーツァルト:ディヴェルティメント

Tower@jp : モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.334 ディヴェルティメント 変ホ長調 K.113

あいかわらずクラシックCDは安値攻勢が続いています(ありがたいけど、ちょっと心配)。
今月、国内盤の1000円シリーズに、新たなラインアップが加わりました。
日本コロンビア系のデンオンから出た、「デンオン・クレスト1000」全70枚。
すべて再発売ですが、なかなかあなどれない品揃え。
かなりのクラシック・マニアでも食指をそそられるアイテムが並んでいます。
発売早々、つい十数枚も買ってしまい、CDの山と軽くなった財布をながめつつ、呆然としている人もいます。
(それは私です)。

さて、とりあえず聴いたなかから、大変気に入ったものを。

 モーツァルト「ディヴェルティメント K.334」 をメインにした一枚です。

ディヴェルティメントは「喜遊曲」と訳されますが、偉い人やお金持ちの宴会のBGMとして作曲を依頼されたもの。
ですから、難解な作品はもってのほか。 あくまで流れるように、気楽に聴ける音楽が要求されます。
モーツァルトは、こうした「機会音楽」をたくさん書いていて、しかも傑作が多いのです。
「どーせ聴き流される音楽だし、てきとーに済ましちゃお」 と、片付ければいいものを、
(いやモーツァルト自身は実際、適当に書きなぐったのかもしれませんが)
出来上がった音楽は、簡潔で軽いけれど、優雅さと深い魅力をたたえた名作ぞろい。
ほんと〜に、天才です。
モーツァルトのディヴェルティメントは、K.247、K.251 など、良い曲がたくさんありますが、
最高傑作は、最晩年の K.563、ついでこの K.334 ではないでしょうか。

K.334 の編成は、弦五部とホルン2本。 本CDでは最少人数の7人で演奏しています。
第1ヴァイオリンが、ほとんど休みなく美しい歌をつむいでゆきます。
この第1ヴァイオリンを担当しているのが、
ウィーン・フィルのコンサート・マスターだったゲルハルト・ヘッツェル
艶のある、したたるような魅力的な音色です。
(ヘッツェルは、本CD録音の翌年の1992年、登山中に足を滑らせて52歳で急逝してしまいます。)
曲は6つの楽章からなります。
どの楽章もきれいなメロディで一杯ですが、第3楽章の「メヌエット」はとくに有名です。

 

この曲、名曲のわりに録音が少なくて、
1973年録音のボスコフスキー盤が、いまだに定盤と言われていますが、
ウィーン室内合奏団の演奏もとても素晴らしいものです。
これで1000円なら、お買い得。

(02.6.23.記)


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